2024年度の介護保険制度改正に向け、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会は6日、会合を開き、給付と負担の見直しに関する議論を本格化させた。焦点となっている65歳以上の高所得者の介護保険料を引き上げる案について大筋で了承。増額の対象となる所得区分などに関して年末までに結論を出す。
 介護保険料は高齢化に伴う需要増で上昇。21~23年度には、市町村が定める保険料基準額が全国平均で月額6014円と、制度開始当初の2倍以上に達しており、給付に見合う負担割合の見直しが喫緊の課題となっている。
 厚労省は6日の会合で、65歳以上の高齢者について、所得に応じて負担を求める「応能負担」を強化するため、高所得者の保険料を引き上げる案を提示し、大筋で了承された。現在は原則、基準額の0.3~1.7倍の9段階に分類しているが、年間合計所得が410万円以上の人を対象に10~13段階を新設する見直し例を示した。
 原則1割負担の介護サービス利用料についても、2割負担の対象拡大を検討。現行では、被保険者の上位20%に当たる「一定所得者」が2割負担となっているが、この範囲を増やす案が出ている。
 介護保険制度は3年に1度見直される。厚労省は当初、負担増について22年末に結論を出す方針だったが、物価高騰や賃上げの影響を注視するため「23年夏まで」とした。今年6月に決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」では、結論の時期を「年末まで」にさらに先送りしていた。
 負担増によって捻出された財源は、低所得者の保険料引き下げのほか、介護職員の処遇改善などに充てる方向で調整する。 (C)時事通信社