国連児童基金(ユニセフ)は23日、ロシアによるウクライナ侵攻で、子供の精神面や学習に「壊滅的影響」があったと指摘する報告書を発表した。特に前線付近では空襲警報発令に伴い、2年間のうち地下に避難して過ごした時間が計約3000~5000時間(4~7カ月相当)に及んだ例もあるとされる。
 報告書によると、東部ドネツク州では空襲警報が2年間に約6200回、南部ザポロジエ・北東部ハリコフ両州では同3500回出された。戦闘で不安やトラウマを抱えた子供に「(空襲警報の)サイレンや爆発がさらなる不安をもたらしている」と懸念を示した。
 また、戦闘や残虐行為の記憶がよみがえるといったフラッシュバックや睡眠障害を訴えている子供も多い。全土で約4割の子供が、施設面の問題で継続的に教育を受けられていない。
 ウクライナでは590万人以上が国外退避した。報告書は「第2次大戦後、欧州最大の人口移動」と表現。国内避難民も約370万人に上る。 (C)時事通信社