平岡孝浩 医師 ひらおかたかひろ

筑波大学附属病院

茨城県つくば市天久保2-1-1

  • 眼科
  • 准教授

専門

近視、眼光学、眼腫瘍、眼窩疾患、網膜硝子体疾患、コンタクトレンズ、オルソケラトロジー

医師の紹介

コロナ禍以降、近くでものを見る「近業」が増え、子どもの近視が大きく進んでいる。重度の近視を放置すると、将来的に緑内障や網膜剥離、近視性黄斑症などの眼の病気のもとになりやすい。そこから失明に至る恐れがあるため、近視が進む学童期のうちに近視進行を抑えることが重要だ。
筑波大学附属病院の眼科では、平岡医師を中心に子どもの近視進行抑制の臨床研究を進めてきた。「例えば、ハードコンタクトレンズを装用して就寝する『オルソケラトロジー』に関する研究を以前から進めてきましたが、普通のコンタクトレンズで視力を矯正する人と比べると、オルソケラトロジーを続けた人のほうが10年後に近視進行抑制効果が保たれていることが分かっています。オルソケラトロジーの他にも、近視進行抑制として低濃度アトロピン点眼、多焦点ソフトコンタクトレンズなどがありますが、いずれも子どものうちに開始し、未成年のうちは続けたほうがいいでしょう」(平岡医師)
ただし近視進行抑制治療は、海外ではどの方法も子どもに対して広く行われているものの、日本では自費診療となるため普及していない。この現状に対し、平岡医師は行政への働きかけも積極的に行ってきた。「近視進行抑制に関して、日本はかなり世界から遅れてしまっています。国家ぐるみで取り組まなければならない問題が山積しているので、法整備につながるように議員向けの勉強会などの機会も作っています」(平岡医師)
子どもの近視進行抑制治療の保険適応が進まない現状を踏まえ、平岡医師は屋外活動を強く推奨する。屋外での活動時間が多いと近視が進みにくいことは明らかな事実とされ、台湾では学校で屋外活動を増やしたことで近視進行が抑えられたという実績も出ている。「屋外活動によって近視が減らせるのは間違いありません。都市部のように子どもが外で遊べる環境が足りないところもありますが、環境要因を整えて近視を進ませないように、親御さんも学校の先生方にも理解してもらい、社会全体で子どもの近視を抑える環境を作ることが重要です」(平岡医師)

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医師プロフィール

1993年 筑波大学医学部専門学群卒業
1999年 茨城西南医療センター病院眼科科長
2005年 筑波大学大学院人間総合科学研究科講師
2008年 茨城県眼科医会理事
2020年より現職

所属学会

日本眼科学会、茨城県眼科医会、日本眼科手術学会
Association for Research in Vision and Ophthalmology
日本網膜硝子体学会、日本角膜学会、日本コンタクトレンズ学会、日本眼内レンズ屈折手術学会

主な著書

『学童の近視抑制治療』(2021年 文光堂)
(更新日:2024年3月25日)