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マッサージの効果を時間的に評価する新手法を学会発表

株式会社ナリス化粧品
施術者の感覚評価から、施術対象者の感性を基準にした評価へ。肌と心を満たすことを目的に関西学院大学工学部※1と共同研究、日本介護美容セラピスト協会※2の協力による取り組み。

株式会社ナリス化粧品(本社:大阪市福島区 代表取締役社長:村岡弘義)は、経時的に変化する感性を把握するTDS法を利用し、マッサージの効果を評価する新しい手法を開発し、関西学院大学工学部と共同で3月7日~8日に九州大学(福岡県福岡市)で開催された日本感性工学会春季大会で発表しました。TDS法は、主に食品分野などで味覚を判断する手法として利用されていますが、化粧品分野ではほとんど利用されていません。当社は1960年代から化粧品の効果だけでなく、官能的な心地よさや使用感を研究する「美容研究課」を組織して研究員を育成し、開発者やエステティシャンと協働することで、化粧品の使用感の向上やエステティックサービスの現場に活かして来ました。これまでマッサージ料の開発は、施術者の意見主導で行っていましたが、施術を受ける対象者のマッサージの最中に変化していく感性を評価する新しい手法を確立すること成功しましたので以下にまとめます。 ※1 関西学院大学工学部/感性価値創造インスティテュート ※2 一般社団法人日本介護美容セラピスト協会(株式会社ナリス化粧品 100%出資)



化粧品だけでは肌と心を満たすことはできない。受ける側の評価なしに満足度は測れない。
当社では、化粧品は正しく使用されることで初めて肌と心を満たし、その効果を発揮することができると考えています。自身でマッサージをすることでも心地よさは得られますが、誰かにマッサージしてもらうことで得られる心地よさはそれ以上の満足感を得られます。当社では、エステティックサービスで一般の人に施術することや、設立した日本介護美容セラピスト協会の認定セラピストが、高齢者にマッサージトリートメントを行う取り組みを実施しています。今回は、ハンドセラピーで施術を受ける対象者に、統計的な手法で選んだ8つの評価語を施術中に感じたタイミングで選んでもらうことで施術の各段階「消毒」・「化粧水塗布」・「乳液塗布」・「手の甲側軽擦」・「手の甲両手掌軽擦」・「指圧迫と軽擦」・「手掌側軽擦」・「両手掌軽擦」・「母指圧迫」・「両手掌軽擦追加」・「両手掌包み込み」・「拭き取り」ごとに、どのような感情が優位となっているのか時間軸でデータを収集。施術者の差によるブレをなくすため同じセラピストでの施術を条件とし、異なるマッサージ料で同じ施術を25名に対し3回実施し、合計75回で得られたTDSカーブのデータを解析しました。






施術の段階ごとの感情変化と、直後と後日に与える感情の因果関係を把握することに成功。
TDSカーブを解析し、施術のメインである「手の甲側軽擦」から「母指圧迫」までの手技の中で優位に選ばれた評価語を「即時実感」、施術直後のアンケート結果を「直後実感」、そして施術翌日のアンケート結果を「後日実感」としてこれらの因果関係を解析した結果、例えば「手の甲側軽擦」で感じられる即時の「癒されている」実感が、直後の「気持ち良さ」実感だけでなく、後日の「癒し」実感にまで影響していることが分かりました。このことから、特定の手技が施術直後だけでなく、後日にハンドセラピーを思い出した際に実感として現れやすい可能性が示されました。この研究は今後、ハンドセラピー以外の施術にも応用が可能であるだけでなく、適するマッサージ料を選択することや、施術者のコミュニケーションスキルを含む技術の上達のためにも役立てることができると考えます。





■研究者
株式会社ナリス化粧品 研究開発部:浅井健史・田邉槙子・中村萌
関西学院大学 工学部/感性価値創造インスティテュート:都賀美有紀・山崎陽一・長田典子

研究者コメント
(ナリス化粧品 研究開発部 浅井健史)
TDS法を用いたハンドマッサージセラピーの感性評価により、それぞれの段階で感じられる価値を指標化できたことや、直後の実感と後日の実感の因果関係について解析し、感性構造を把握することができたことはとても有意義であると考えます。今後は、それぞれの段階で与える触感の物性情報と感性との因果関係を明らかにすることで、肌と心、身体と脳へと働きかける化粧品につなげていきたいと考えます。




【一般社団法人介護美容セラピスト協会 概要】
※一般社団法人日本介護美容セラピスト協会は、株式会社ナリス化粧品が、100%出資しています。
所在地:大阪市福島区海老江1丁目11番17号(株式会社ナリス化粧品 本社内)
設立:2014年4月
代表理事:酒井宗政
事業内容:心と体の美容療法(R)を創出。ビューティタッチセラピー(R)の手法を用いて、マッサージやメイクなどの「肌に触れるケア」をとり入れることで、主に高齢者の自立支援やQOLの向上を目指す。全国で、ビューティタッチセラピストの養成と認定講座を開催。2,604名(2023年12月末現在)の認定セラピストを輩出している。また、施設や地方包括ケア等のリクエストに応え、セラピストの派遣を行っている。

1995年    高齢者施設での化粧療法を開始
1997年10月 日本免疫学会で「老齢婦人に対する化粧療法の免疫機能への影響」発表
2012年2月 東日本大震災被災者支援「心人」開始
2014年4月 一般社団法人「日本介護美容セラピスト協会」設立
2014年6月 「ビューティタッチセラピスト認定基本講座」開始
2014年9月 九州ヘルスケアサービス産業創出研究会テーマ事業に認定
2015年3月 日本健康支援学会「定期的な化粧行動の有無による身体・精神機能の比較」発表
2015年3月 日本早期認知症学会「要介護高齢女性に対する介入効果の検討」発表
2016年3月 厚生労働省 「保険外サービス活用ガイドブック」に掲載
2018年6月 日本健康心理学会、日本ヒューマン・ケア心理学会学術集合合同大会
「フットマッサージが健常成人女性の心身に及ぼす効果の検証」発表
2019年7月 日本感性工学会「フットマッサージが心身機能に及ぼす影響」発表
2019年10月 日本早期認知症学会「認知症高齢者におけるマッサージの効果」で発表
2021年2月 日本化粧医療学会「認知症患者に対する化粧美容セラピーの認知・情動機能改善効果」発表
2021年6月 日本認知症予防学会「認知症患者に対する化粧美容セラピーの効果」発表

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