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【管理栄養士・栄養士1,922人への働き方調査】6割超が定期昇給するも半数以上は3,000円以下、診療・介護報酬改定の影響は低調。給食予算は4割超が不満と回答。円安や物価高騰により業務難度の上昇を示唆

株式会社エス・エム・エス
~食材の仕入れ方・仕入れ先の見直しや冷凍食材の採用、レシピの変更など様々な工夫で変化に対応~

株式会社エス・エム・エス(本社:東京都港区、代表取締役社長:後藤夏樹、東証プライム、以下「当社」)は、管理栄養士・栄養士向けコミュニティ「エイチエ」(URL:https://eichie.jp/)を提供しており、この度、病院や介護施設、教育機関、給食委託会社などに勤務する管理栄養士・栄養士1,922人を対象に、「管理栄養士・栄養士の働き方に関する調査」を実施しました。医療・介護・教育などの現場において体調管理・栄養管理、給食提供などの最前線で働く人たちの実態をお知らせします。なお、当社が管理栄養士・栄養士向けに行った前々回の調査結果は、厚生労働省の社会保障審議会の資料(入院時の食費について)にて引用されました(※1)。
引用元調査URL:https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20230912_eichie_research/



【主な調査結果】
1.管理栄養士・栄養士の64.4%は定期昇給があったと回答
定期昇給以外のベースアップはなかったと回答した人が64.9%となった。

2.定期昇給額は月3,000円以下が最多の56.5%
次点で3,001~5,000円が24.5%。全体のうち1万円以下の昇給が94.6%となった。

3.管理栄養士・栄養士の55.0%が職場に考課制度があると回答
考課制度があると回答した人の中で、内容については定期的に上長との面談ありと回答した人が59.9%だった。

4.2024年の診療・介護報酬改定が給与に影響していると回答した人は30.6%、していないと回答した人は45.8%
病院・クリニック勤務の人と介護施設勤務の人をそれぞれ集計し比較すると、診療報酬改定は約4割が給与に反映されていると感じているものの、介護報酬改定は半数以上が給与に反映されていないと感じていることがわかった。

5.給食費の予算は43.5%が不満と回答
不満と回答した人(不満、やや不満)が最多となった。

6.給食費の予算は39.2%が増えたと回答
予算を増額しているケースは少なく、円安や物価高騰への対策は難しい現状が垣間見えた。

7.給食は円安の影響を悪い方向で受けていると66.8%が回答
円安は給食の予算管理の難易度を上げていることが示唆された。

8.円安の影響で行わなければならなくなった業務は「食材の仕入れ方・仕入れ先の見直しをしなければならなくなった(37.2%)」が最多
次点で「生野菜ではなく、冷凍野菜を使うようになった(33.0%)」、「輸入食材が高騰し、レシピを変えざるを得なくなった(27.7%)」が上位となった。

9.管理栄養士・栄養士を目指したきっかけの1位は食べることが好きだった(22.4%)、次点で食・栄養への興味が強かった(21.7%)が上位
自身の原体験や興味が、モチベーションを支えていることが伺える。

【コメント抜粋】
1.評価・考課制度についてのコメント
≪満足な点≫
・親身になって話を聞いてくれる(埼玉県、行政勤務)
・細かく分類されており、管理栄養士の職に理解を感じる(神奈川県、介護施設勤務)
・栄養指導の満足度が患者の声で反映される点。患者が医師に栄養士にこういう話をされたので頑張ろうと思うなど医師と患者の距離感が近く良くも悪くも栄養士の発言が医師に届くため(埼玉県、クリニック勤務)
・特筆すべき会社への貢献内容という、自分が会社に貢献したと思うことなどを自由に記述することができる項目がある(新潟県、給食委託会社勤務)
・学会で発表したり健康講座を行ったりした時にチャレンジ業務として点数がもらえること(福島県、病院勤務)

≪不満足な点≫
・考課面談がないので、どういう理由で評価されているのかわからない(北海道、給食委託会社勤務)
・評価がついて昇給になったとしても、千円単位の微々たるアップのため努力に対して評価をされたという実感が持てない(東京都、介護施設勤務)
・管理栄養士からの評価や医師や看護師からの評価がほしい(埼玉県、介護施設勤務)
・栄養士の業務内容を把握していない上司が査定している(広島県、病院勤務)

2.円安で受けた影響に対して行った工夫についてのコメント
・既製品のパンの代わりに蒸しパン等手作りに変更した、値上げ前に大量購入してストックした(愛知県、病院勤務)
・揚げ物以外でのエネルギーアップの工夫(長野県、病院勤務)
・捨てる素材だった皮などを再利用して食事として提供している。今まで捨てていたものでも、実際に食べられるので、見直しして良かった(石川県、介護施設勤務)
・1日において、目立つ食材のダブリは×としてきたが、緩和している。朝昼夕で例えば、朝玉子・昼魚・夕肉と主菜は種別で分けてきたが、昼鶏肉、夕豚肉などが続くこともやむを得ないと理解を得てもらった。その他も主菜を出来るだけ安い物にしたり、カレーの具を厚揚げにしてみたり、色々工夫をしている(神奈川県、介護施設勤務)
・品数を減らす。高齢者が多く、あまり量を食べられない方のために全体量を減らしMCTオイルや粉飴でエネルギーをあげる、調味料の量を見直し味付け濃いメニューなど改善(新潟県、給食委託会社勤務)
・円安に影響を受け始めたときはパン食を減らしたりしましたが、最近は米がどんどん値上がりしているので栄養価基準を満たすことと食材費の調整がかなり難しい状況です(福岡県、給食委託会社勤務)
・輸入野菜や骨取り魚の使用する種類や割合を変更しました(愛知県、給食委託会社勤務)


【総括】
調査の結果、約6割の管理栄養士・栄養士は定期昇給があったと回答しました。しかし、2024年の診療・介護報酬改定が給与に影響していると回答した人は3割程度にとどまりました。特に、介護施設で働く管理栄養士・栄養士の半数以上は報酬改定が給与に反映されていないと回答しており、介護現場では給与改善をあまり感じられていないということがわかりました。給与の評価・考課制度については半数以上がありと回答し、上司との面談など一般的な職種と同様の評価・考課が行われていることがわかりました。しかし、管理栄養士・栄養士は職場内の人数も少なく、給与の決定権のある上司が栄養関連の専門知識がない場合も多いと考えられます。実際に、評価に関するコメントでは管理栄養士、医師、看護師など専門知識のある職種からの評価がほしいという要望や、知識や業務理解の薄い上司から評価されることへの不満の声があがりました。生活習慣病が国民の健康課題として深刻化している中で、食と栄養の専門的な知識と技術を持ち、栄養指導や栄養管理を行う管理栄養士・栄養士の役割はますます重要になっています。しかし、能力や貢献が適切に評価される仕組みが確立されておらず、給与に紐づきづらい現状が浮き彫りとなりました。

また、近年の円安や物価高騰の影響についても調査したところ、給食業務に携わる管理栄養士・栄養士の3人に2人が円安の影響を悪い方向で受けていると回答したものの、給食の予算が増額したという回答は4割弱に留まり、金額的な対策がなされていないことが伺えました。このような厳しい環境の中で、給食の予算管理を行う管理栄養士・栄養士は食材の仕入れ方・仕入れ先の見直しや、冷凍食材の採用、レシピの変更など、様々な工夫で給食の質を維持しています。

さらに、管理栄養士・栄養士を目指したきっかけについても調査したところ、上位は食べることが好きだった、食・栄養への興味が強かったという、自身の体験や興味がモチベーションを支えていることが伺える結果となりました。

※1:厚生労働省「第170回社会保障審議会医療保険部会(資料3 入院時の食費について)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36273.html)に掲載

【調査概要】
・調査期間:2024年8月22日(木)~2024年8月28日(水)
・調査対象:全国の管理栄養士・栄養士1,922名
・調査方法:Webを使用したアンケート

【調査結果詳細】
1.管理栄養士・栄養士の64.4%は定期昇給があったと回答
Q.(前年度に転職をしていない、かつ、フリーランスやその他特殊な勤務先で勤務している人以外への質問)今年度(2024年4月1日以降)、定期昇給はありましたか?(n=1,287)



Q.(前年度に転職をしていない、かつ、フリーランスやその他特殊な勤務先で勤務している人以外への質問)今年度(2024年4月1日以降)、定期昇給以外のベースアップはありましたか?(n=1,287)
定期昇給以外のベースアップはなかったと回答した人が64.9%となった。



2.定期昇給額は月3,000円以下が最多の56.5%
Q.(定期昇給があった人への質問)今年度の定期昇給額は何円程度ですか?(額面、月収計算)(n=829)
次点で3,001~5,000円が24.5%。全体のうち1万円以下の昇給が94.6%となった。



3.管理栄養士・栄養士の55.0%が職場に考課制度があると回答
Q.(フリーランスやその他特殊な勤務先で勤務している人以外への質問)今の職場に評価・考課制度はありますか?(n=1,548)



Q.(評価制度があると回答した人への質問)今の職場の評価・考課制度はどのようなものがありますか?(複数選択可)(n=851)
考課制度があると回答した人の中で、内容については定期的に上長との面談ありと回答した人が59.9%だった。



4.2024年の診療・介護報酬改定が給与に影響していると回答した人は30.6%、していないと回答した人は45.8%
Q.(クリニック、病院、介護施設に勤務していると回答した人への質問)診療・介護報酬の変化は給与に反映されていますか?(n=1,102)



病院・クリニック勤務の人と介護施設勤務の人をそれぞれ集計し比較すると、診療報酬改定は約4割が給与に反映されていると感じているものの、介護報酬改定は半数以上が給与に反映されていないと感じていることがわかった。
・病院・クリニックのみの集計結果(n=501)



・介護施設のみの集計結果(n=601)



5.給食費の予算は43.5%が不満と回答
Q.(給食の予算管理に携わっていると回答した人への質問)食費(給食費)の予算について満足していますか?(n=548)
不満と回答した人(不満、やや不満)が最多となった。



Q.(給食の予算管理に携わっていると回答した人への質問)食費(給食費)の予算について、1日あたりいくらで給食を提供していますか? 食費(給食費)の予算について、1日あたりいくらならば適切な給食を提供できそうですか?

・病院で3食提供している人の集計結果(n=98)
現在の予算は751円~800円が最多、理想の予算は1,001円以上が最多となった。



・介護施設で3食+おやつを提供している人の集計結果(n=177)
現在の予算は701円~750円が最多、理想の予算は1,001円以上が最多となった。



6.給食費の予算は39.2%が増えたと回答
Q.(給食の予算管理に携わっていると回答した人への質問)今年度の食費(給食費)の予算は増えましたか?(n=548)
予算を増額しているケースは少なく、円安や物価高騰への対策は難しい現状が垣間見えた。



・施設形態ごとの集計結果



7.給食は円安の影響を悪い方向で受けていると66.8%が回答
Q.(給食の予算管理に携わっていると回答した人への質問)給食を提供するにあたり、円安は業務に影響を与えていますか?(n=548)
円安は給食の予算管理の難易度を上げていることが示唆された。



8.円安の影響で行わなければならなくなった業務は「食材の仕入れ方・仕入れ先の見直しをしなければならなくなった(37.2%)」が最多
Q.(給食の予算管理に携わっていると回答した人への質問)円安で行わなければならなくなった行動を選んでください。(複数選択可)(n=548)
次点で「生野菜ではなく、冷凍野菜を使うようになった(33.0%)」、「輸入食材が高騰し、レシピを変えざるを得なくなった(27.7%)」が上位となった。



9.管理栄養士・栄養士を目指したきっかけの1位は食べることが好きだった(22.4%)、次点で食・栄養への興味が強かった(21.7%)が上位
Q.管理栄養士・栄養士を目指した1番のきっかけは何ですか?(n=1,922)
自身の原体験や興味がモチベーションを支えていることが伺える。



【過去の調査について】
1.管理栄養士・栄養士2,129人に聞いた働き方の実態調査
7割が仕事にやりがいを感じ、3人に2人が残業10時間未満、有給8割以上消化も4割。三大不満は「給料が安い・人手不足・昇給が見込めない」で将来性に不安(2024年2月1日公表)
・URL:https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20240201_eichie_research/

2.管理栄養士・栄養士580人に聞いた物価高騰による施設等の給食への影響調査
約7割が物価高騰の影響によるメニュー開発や献立についての悩みあり。「たんぱく質」摂取に苦労、たまごや魚の値上がりを受けメニューを工夫(2023年9月12日公表)
・URL:https://www.bm-sms.co.jp/news-press/prs_20230912_eichie_research/

【「エイチエ」について】
管理栄養士・栄養士向けコミュニティ。献立を投稿・閲覧し、コメントができる献立レポ、栄養士業務に特化したQ&A、求人情報や働き方などのコンテンツを提供。管理栄養士・栄養士を多方面からサポートしています。
URL:https://eichie.jp/

【株式会社エス・エム・エスについて】
2003年創業、2011年東証一部上場、2022年4月より東証の市場区分変更によりプライム市場へ移行。「高齢社会に適した情報インフラを構築することで人々の生活の質を向上し、社会に貢献し続ける」ことをミッションに掲げ、「高齢社会×情報」を切り口にした40以上のサービスを開発・運営しています。
名称:株式会社エス・エム・エス
所在地:東京都港区芝公園2-11-1住友不動産芝公園タワー
代表者:代表取締役社長 後藤夏樹
会社設立:2003年4月
資本金:25億5,172万円(2024年3月31日現在)
従業員数:連結4,188人、単体2,754人(2024年3月31日現在)
事業内容:高齢社会に求められる領域を、医療・介護/障害福祉・ヘルスケア・シニアライフと捉え、価値提供先であるエンドユーザ・従事者・事業者をつなぐプラットフォームとしての情報インフラを構築し、40以上のサービスを展開
URL:https://www.bm-sms.co.jp/
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