「だれもが文化でつながる国際会議2024」閉幕 国内外から延べ約7,000人が参加
公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京
「文化と居場所」をテーマに共生社会について考えた6日間 10月29日(火)~11月3日(日・祝) 会場:東京国際フォーラム
開会式の様子
東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京が、10月29日(火)から11月3日(日・祝)まで、東京国際フォーラムで開催した「だれもが文化でつながる国際会議2024」は、芸術文化関係者、福祉・医療関係者、教育関係者、学生、家族連れなど、国内外から延べ約7,000名の方にご参加いただき、6日間の会期を終了しました。
11月1日の開会式で、小池都知事は、「芸術文化の持つ力が、誰もが輝く共生社会への大きな流れを加速させ、東京がネットワークの中心となり、多彩な取組を世界に発信していく」と述べました。東京2025デフリンピック応援アンバサダーの長濱ねるさんからは、手話との出会いが居場所のひとつを生み出してくれたことや、自分と他者・社会をつなぐものとしての文化への思いが紹介されました。ほかのゲストたちからも、共生社会に向けて芸術文化が果たす役割について、それぞれの期待が述べられました。
【共生社会の未来像を探求した6日間】
講演と4つのセッションでは、国内外の登壇者が、文化、居場所、ウェルビーイング、地域、協働、共生といったキーワードを軸に、議論を深めました。8つの分科会では、主に美術館や博物館などの文化施設等におけるアクセシビリティや芸術文化による社会的包摂などの具体的な取組報告が国内外の登壇者から紹介され、知見が共有されました。特に、先進的な取組で知られるアムステルダム国立美術館のアクセシビリティ担当者の報告には、多くの文化施設関係者が集まり、これからのアクセシビリティ向上施策への高い関心が伺われました。
セッションの様子
最終日のクロージングセッションでは、東京大学大学院総合文化研究科の梶谷真司教授が、今は多くの若い世代が社会貢献や社会課題への関心を持っており、希望が持てる時代でもあること、ゆっくりでも前に進んでいくことが大切、と締めくくりました。
本会議では全てのプログラムでアクセシビリティサポートを行いました。海外の登壇者を迎えてのセッションは 、国際手話、日本手話、英語音声、日本語音声、英語字幕、日本語字幕が展開され、複数人の同時通訳者を経て情報保障が行いました。
分科会の様子
<参加者の声>
・難病の子供の支援活動をしている。制約が多くてくじけそうになることも多く、何かヒントがないかと思って参加した。登壇者の人たちと直接話せる機会があるのは嬉しかった。(セッション2「日常とアートと教育」参加者・50代女性)
・障がい者とアートに関心があるが、認知症との関わりにも興味があって参加した。それぞれのセクターから具体的な話が聞けて、横断的な議論ができていたのがとても勉強になった。(分科会4「認知症と向き合うアート」参加者・50代女性)
登壇者との交流スペースの様子
・普通の会社員だが知り合いから聞いて参加した。普段は、障がいのある人もあまり身近におらず、考える機会もなかったのだが、このような世界があることを知れてとても良かった。クロージングパフォーマンスもみんなで参加できたのが良かった。(クロージングセッション参加者・30代男性)
【ろう文化への理解を深めるプログラムを展開】
2回目の開催となる今回の国際会議では、来年秋に開催される「東京2025デフリンピック」を見据え、ろう文化に焦点を当てたプログラムも多数展開しました。
ろう者による世界的なフェスティバル クランドゥイユのディレクターであるデイビッド・デ・キーザーさんは、招待講演に加え、リーダーシップ・ワークショップを実施。多くのスタッフを統括して運営される同フェスティバルの経験から、リーダーの役割やチームビルディングに不可欠な要素などの実体験に基づく知見が共有されました。参加者からは「チームで働くことの喜びとはどんなことか」といった熱心な質問のほか、 「予算はどのように確保しているのか」といった実践的な質問まで飛び出しました。終了後もキーザーさんと対話したり記念写真を撮ったりして交流を深めました。
リーダーシップ・ワークショップ
<参加者の声>
・ろう者がリーダーシップを学べる機会があまりないので来た。キーザーさんの話を聞き、海外のことでも共通点があり、自分のやってきたことを確認できた。今後、映像制作をしたいと考えている。 (「リーダーシップ・ワークショップ」参加者・30代男性)
・小学校6年生の娘が学校で落語体験をしてから興味を持つようになったので、一緒に昇吉師匠の落語会を聞きに来た。手話付きで落語を鑑賞するのは初めてだったが、新鮮で、楽しかった。(「春風亭昇吉 落語会(手話通訳付き)」参加者・40代女性)
・手話は、言葉としてのリズムに気を付けて伝える必要があるという話が面白かった。海外での良い実践が日本でも広がって、いろいろな人とコミュニケーションがとれるようになったらいいと思った。(分科会7「ろう者による芸術の手話解説-イギリスのBSLガイドの事例に学ぶ」参加者・20代女性)
【行き交う人たちがアート・対話・最新機器を楽しんだ《まばたきの葉》広場】
東京国際フォーラムB1階のロビーギャラリーには、鈴木康広さんの代表作、《まばたきの葉》が登場!葉に描かれた眼がくるくると回転して舞い降りてくる様子は会期中のランドマークとなり、子共たちが遊んだり、ベンチでおしゃべりしたり、行き交う人が写真を撮ったりしていました。
《まばたきの葉》を中心に設営された広場ではワークショップ、映画上映・トーク、落語会、謎解きゲームなど、「文化と居場所」を表現する多彩な参加型プログラムを連日実施。事前申込みが必要なプログラムはすべて満席となり、立ち見で参加される方々もいました。
カラフルで遊び心あふれる編み物作品のコーナーでも、制作者である福祉施設の利用者が来場して、参加者とおしゃべりしたり、空間接続プロダクトでつながった前橋市の福祉施設の利用者と遠隔交流するなど、出会いの輪が広がっていきました。
《まばたきの葉》広場
アクセシビリティを支援する最新機器のコーナーは、家族を介護する方、技術に関心を持った若い人たちなどの関心を集め、免許不要で歩道を走れる近距離モビリティの試乗など、様々な方々が実際に機器を使用し、その技術に触れました。
ワークショップ/トーク
空間接続プロダクトによる交流
触れる彫刻の鑑賞
近距離モビリティの体験
<参加者の声>
・盲学校の子供たちの作品を見て感動した。視覚障害がある子もない子も一緒に楽しめる絵本も素晴らしい。母国では教師をしており、障害を持つ子共たちもいるが、このような作品制作を指導するような仕組みはまだあまりないように思う。(30代女性)
・高齢者の方たちと協働制作された編み物作品が素晴らしかった。高齢になると、根気が続かない、ちゃんと完成させられない、などと負い目に感じる人がいるが、それでいいんだよ、と言われているような気がした。(50代女性)
・展示関係の仕事をしている。人にどのように分かりやすく伝えるのかに関心があり、 「やさしい日本語」のワークショップに参加した。(30代女性)
・視覚をサポートする機器の技術を初めて知った。自分もあまり目が良くないし、美術館に子どもを連れていくと混んでいたりして作品を近くで観られないことも多くて残念に思っていたのだが、こういう技術で遠くからでもよく見えるようになれば鑑賞の仕方も変わってくるのではないかと思う。(30代男性)
国内外から、たくさんの方にご来場いただき、芸術文化と社会について様々な意見が交わされ、分かち合った6日間でした。今回の国際会議での知見は、今後HPや報告書などのアーカイブにて皆さまと共有していく予定です。東京都とアーツカウンシル東京は、本国際会議を通じて得られた多くの知見を生かし、アクセシビリティの向上など芸術文化を通したウェルビーイングの実現に向けた取組を進め、だれもが心豊かに暮らせる「新たな未来」を切り拓いていきます。
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「文化と居場所」をテーマに共生社会について考えた6日間 10月29日(火)~11月3日(日・祝) 会場:東京国際フォーラム
開会式の様子
東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京が、10月29日(火)から11月3日(日・祝)まで、東京国際フォーラムで開催した「だれもが文化でつながる国際会議2024」は、芸術文化関係者、福祉・医療関係者、教育関係者、学生、家族連れなど、国内外から延べ約7,000名の方にご参加いただき、6日間の会期を終了しました。
11月1日の開会式で、小池都知事は、「芸術文化の持つ力が、誰もが輝く共生社会への大きな流れを加速させ、東京がネットワークの中心となり、多彩な取組を世界に発信していく」と述べました。東京2025デフリンピック応援アンバサダーの長濱ねるさんからは、手話との出会いが居場所のひとつを生み出してくれたことや、自分と他者・社会をつなぐものとしての文化への思いが紹介されました。ほかのゲストたちからも、共生社会に向けて芸術文化が果たす役割について、それぞれの期待が述べられました。
【共生社会の未来像を探求した6日間】
講演と4つのセッションでは、国内外の登壇者が、文化、居場所、ウェルビーイング、地域、協働、共生といったキーワードを軸に、議論を深めました。8つの分科会では、主に美術館や博物館などの文化施設等におけるアクセシビリティや芸術文化による社会的包摂などの具体的な取組報告が国内外の登壇者から紹介され、知見が共有されました。特に、先進的な取組で知られるアムステルダム国立美術館のアクセシビリティ担当者の報告には、多くの文化施設関係者が集まり、これからのアクセシビリティ向上施策への高い関心が伺われました。
セッションの様子
最終日のクロージングセッションでは、東京大学大学院総合文化研究科の梶谷真司教授が、今は多くの若い世代が社会貢献や社会課題への関心を持っており、希望が持てる時代でもあること、ゆっくりでも前に進んでいくことが大切、と締めくくりました。
本会議では全てのプログラムでアクセシビリティサポートを行いました。海外の登壇者を迎えてのセッションは 、国際手話、日本手話、英語音声、日本語音声、英語字幕、日本語字幕が展開され、複数人の同時通訳者を経て情報保障が行いました。
分科会の様子
<参加者の声>
・難病の子供の支援活動をしている。制約が多くてくじけそうになることも多く、何かヒントがないかと思って参加した。登壇者の人たちと直接話せる機会があるのは嬉しかった。(セッション2「日常とアートと教育」参加者・50代女性)
・障がい者とアートに関心があるが、認知症との関わりにも興味があって参加した。それぞれのセクターから具体的な話が聞けて、横断的な議論ができていたのがとても勉強になった。(分科会4「認知症と向き合うアート」参加者・50代女性)
登壇者との交流スペースの様子
・普通の会社員だが知り合いから聞いて参加した。普段は、障がいのある人もあまり身近におらず、考える機会もなかったのだが、このような世界があることを知れてとても良かった。クロージングパフォーマンスもみんなで参加できたのが良かった。(クロージングセッション参加者・30代男性)
【ろう文化への理解を深めるプログラムを展開】
2回目の開催となる今回の国際会議では、来年秋に開催される「東京2025デフリンピック」を見据え、ろう文化に焦点を当てたプログラムも多数展開しました。
ろう者による世界的なフェスティバル クランドゥイユのディレクターであるデイビッド・デ・キーザーさんは、招待講演に加え、リーダーシップ・ワークショップを実施。多くのスタッフを統括して運営される同フェスティバルの経験から、リーダーの役割やチームビルディングに不可欠な要素などの実体験に基づく知見が共有されました。参加者からは「チームで働くことの喜びとはどんなことか」といった熱心な質問のほか、 「予算はどのように確保しているのか」といった実践的な質問まで飛び出しました。終了後もキーザーさんと対話したり記念写真を撮ったりして交流を深めました。
リーダーシップ・ワークショップ
<参加者の声>
・ろう者がリーダーシップを学べる機会があまりないので来た。キーザーさんの話を聞き、海外のことでも共通点があり、自分のやってきたことを確認できた。今後、映像制作をしたいと考えている。 (「リーダーシップ・ワークショップ」参加者・30代男性)
・小学校6年生の娘が学校で落語体験をしてから興味を持つようになったので、一緒に昇吉師匠の落語会を聞きに来た。手話付きで落語を鑑賞するのは初めてだったが、新鮮で、楽しかった。(「春風亭昇吉 落語会(手話通訳付き)」参加者・40代女性)
・手話は、言葉としてのリズムに気を付けて伝える必要があるという話が面白かった。海外での良い実践が日本でも広がって、いろいろな人とコミュニケーションがとれるようになったらいいと思った。(分科会7「ろう者による芸術の手話解説-イギリスのBSLガイドの事例に学ぶ」参加者・20代女性)
【行き交う人たちがアート・対話・最新機器を楽しんだ《まばたきの葉》広場】
東京国際フォーラムB1階のロビーギャラリーには、鈴木康広さんの代表作、《まばたきの葉》が登場!葉に描かれた眼がくるくると回転して舞い降りてくる様子は会期中のランドマークとなり、子共たちが遊んだり、ベンチでおしゃべりしたり、行き交う人が写真を撮ったりしていました。
《まばたきの葉》を中心に設営された広場ではワークショップ、映画上映・トーク、落語会、謎解きゲームなど、「文化と居場所」を表現する多彩な参加型プログラムを連日実施。事前申込みが必要なプログラムはすべて満席となり、立ち見で参加される方々もいました。
カラフルで遊び心あふれる編み物作品のコーナーでも、制作者である福祉施設の利用者が来場して、参加者とおしゃべりしたり、空間接続プロダクトでつながった前橋市の福祉施設の利用者と遠隔交流するなど、出会いの輪が広がっていきました。
《まばたきの葉》広場
アクセシビリティを支援する最新機器のコーナーは、家族を介護する方、技術に関心を持った若い人たちなどの関心を集め、免許不要で歩道を走れる近距離モビリティの試乗など、様々な方々が実際に機器を使用し、その技術に触れました。
ワークショップ/トーク
空間接続プロダクトによる交流
触れる彫刻の鑑賞
近距離モビリティの体験
<参加者の声>
・盲学校の子供たちの作品を見て感動した。視覚障害がある子もない子も一緒に楽しめる絵本も素晴らしい。母国では教師をしており、障害を持つ子共たちもいるが、このような作品制作を指導するような仕組みはまだあまりないように思う。(30代女性)
・高齢者の方たちと協働制作された編み物作品が素晴らしかった。高齢になると、根気が続かない、ちゃんと完成させられない、などと負い目に感じる人がいるが、それでいいんだよ、と言われているような気がした。(50代女性)
・展示関係の仕事をしている。人にどのように分かりやすく伝えるのかに関心があり、 「やさしい日本語」のワークショップに参加した。(30代女性)
・視覚をサポートする機器の技術を初めて知った。自分もあまり目が良くないし、美術館に子どもを連れていくと混んでいたりして作品を近くで観られないことも多くて残念に思っていたのだが、こういう技術で遠くからでもよく見えるようになれば鑑賞の仕方も変わってくるのではないかと思う。(30代男性)
国内外から、たくさんの方にご来場いただき、芸術文化と社会について様々な意見が交わされ、分かち合った6日間でした。今回の国際会議での知見は、今後HPや報告書などのアーカイブにて皆さまと共有していく予定です。東京都とアーツカウンシル東京は、本国際会議を通じて得られた多くの知見を生かし、アクセシビリティの向上など芸術文化を通したウェルビーイングの実現に向けた取組を進め、だれもが心豊かに暮らせる「新たな未来」を切り拓いていきます。
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(2024/11/13 14:00)
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