治療・予防

痛みは専門医に相談
~ペインクリニック(湘南藤沢徳洲会病院 木村信康主任部長)~

 頭痛、腹痛、腰痛、関節痛とさまざまな痛みが生じたときは、痛みの部位によって受診する診療科を選ぶ場合が多いだろう。しかし、痛みに特化した専門家がいるペインクリニックを活用するのも一つの手段だ。

 湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県藤沢市)痛みセンター(ペインクリニック)の木村信康主任部長は「治療が早いほど効果が期待できるので、痛みが長引く前に受診してほしい」と話している。

使用頻度の高い神経ブロック注射

使用頻度の高い神経ブロック注射

 ◇慢性化しうつにも

 病気やけがによる痛みは、時に生活に支障を来す。我慢して悪化する、かばって無理な姿勢を取る、知らぬ間に大きな病気が進行している―。そんなことにならないよう、痛みの部位などから原因を探り、痛みを軽減するための治療を行うのがペインクリニックだ。「当センターでは神経ブロック注射を中心に治療を行っていますが、薬物療法や精神療法(認知行動療法)が主体のペインクリニックもあります」

 神経ブロック注射とは、痛みがある部位の近辺にある神経に麻酔薬を打ち、痛みの神経の働きを一時的に止めたり、血流を改善したりして痛みを軽減していく治療法。痛みが生じて3カ月以内の急性期であれば、より効果が期待できる場合が多いという。

 一方、痛みは慢性化すると精神面に影響を及ぼすケースもあり、治療に難渋する場合が多くなる。「痛みのことばかり考えるうちに痛みが増して無気力になる『破局的思考』に陥り、恐怖や不安、不眠を引き起こしかねません。うつになる人もいます」

 ◇こじらせる前に受診を

 木村主任部長によると、ペインクリニックを受診する患者は、さまざまな診療科で治療しても痛みが取れないケースが多いという。同院では腰や下肢の痛み、帯状疱疹(ほうしん)などで受診する患者が多い。問診に加え、MRI検査などで原因を探り、症状に応じた治療法で痛みの軽減を試みるのが一般的な流れ。

 神経ブロック注射は痛みの部位に応じて30種類以上ある。使用頻度が高いのは硬膜外ブロック、星状(せいじょう)神経節ブロック、神経根ブロックの3種類。「すべての痛みに有効な治療法ではありませんが、患部を温めると痛みが軽減したり、痛みの範囲が限定的だったりする場合には効果が期待できます」

 ペインクリニックの認知度は高くはないようだ。「痛みをこじらせる前にかかりつけ医に相談し、ペインクリニックがある大学病院を紹介してもらったり、日本ペインクリニック学会のホームページで専門医一覧から近くの医師を検索したりして受診するとよいでしょう」と木村主任部長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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