医療・医薬・福祉

中等症以上のアトピー性皮膚炎の子どもを持つ母親を対象にアトピー性皮膚炎の治療や影響に関する意識・実態を調査

日本イーライリリー株式会社
~半数近くの母親は子どもの治療を強化したいと思っている一方、実際に医師へ相談した母親は2割弱にとどまっていることが判明~

日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:シモーネ・トムセン、以下、日本イーライリリー)は、中等症以上のアトピー性皮膚炎の子ども(2~14歳)を持つ母親(443 名)を対象に、アトピー性皮膚炎やその治療に対する意識や実態を調査しました。本調査の結果から、アトピー性皮膚炎の子どもを持つ母親の約半数は子どもの治療を強化したいと考えている一方、医師に相談できていない人が多いことがわかりました。子どものアトピー性皮膚炎の治療において、その家族と医療従事者の間で治療の希望に関するコミュニケーションがこれまで以上に求められています。

<主な調査結果>
- 治療を強化したい母親は48.5%、実際に治療薬の情報を入手し医師へ相談した母親は19.5%
- 36.1%の母親は、現在の子どもの治療に満足していない
- 71.9%の母親は、子どもがアトピー性皮膚炎により勉強や習いごとに集中できないと感じている
- 70.5%の母親は、子どもがアトピー性皮膚炎であることにより、自身が疲労・体力の消耗を感じたことがある

アトピー性皮膚炎は、体のあらゆる部位の強い痒み、皮膚の乾燥及び炎症を特徴とする慢性及び再発性の皮膚疾患です(*1)。患者さんの約80%において、5歳くらいまでに症状があらわれると言われています(*2)。患者さんが特に幼いうちは、家族など身近な存在が、患者さんの日々のスキンケアや治療に関与します。そのような幼い患者さんの治療に関与することの多い母親は、治療の悩みや希望を医師に相談して、子どもに合った治療を選択することが必要と考えられます。

本調査は、アトピー性皮膚炎の子どもを持つ母親に、アトピー性皮膚炎の子どもの治療に関する考えや希望について質問しました。近年、新しい治療薬の登場によりアトピー性皮膚炎の治療選択肢は広がっています。そこで、現在よりも子どものアトピー性皮膚炎の治療を強化したいと思っているかを質問したところ、「非常にそう思う」または「ややそう思う」と回答した母親は48.5%でした(図1)。

(図1)お子さまのアトピー性皮膚炎に対して、現在よりも治療を強化したい n=443:全体




一方、子どものアトピー性皮膚炎の治療薬に対して現在よりも治療強化をしたいと回答した母親(n=215)のうち、実際に自分で情報を入手し、その治療について医師に相談をしたことがある母親は19.5%という低い結果でした。母親は、子どものアトピー性皮膚炎の治療を強化したいと思いつつも、自分で情報を調べたり、医師へ相談したりすることに消極的であることがわかりました(図2)。

(図2)お子さまのアトピー性皮膚炎の治療薬について、自身が情報を入手し、その治療について医師に相談をしたこと n=215:お子さまのアトピー性皮膚炎に対して、現在よりも治療を強化したい母親




また、現在の子どものアトピー性皮膚炎の治療満足度に対して、「非常に満足している」または「やや満足している」と回答した母親は36.1%(図3)であり、治療への満足度の低さが治療強化に対する希望に繋がっていることがうかがえました。

(図3)治療満足度 n=443:全体




加えて、アトピー性皮膚炎の治療の選択肢について質問したところ、88.3%の母親が、生物学的製剤およびJAK阻害剤(経口)の製品名を1つも認知していないこともわかりました。一方、生物学的製剤やJAK阻害剤(経口)を使用している子どもの母親(n=22名)は、現在の治療に対する満足度が61.9%(全体36.1%)と高く、自分で情報を入手し、その治療について医師に相談をしたことがある割合も52.4%(全体17.8%)と、全体と比較して高いことがわかりました。

本調査では、アトピー性皮膚炎による子どもへの影響についても、母親の視点から確認しました。71.9%の母親は、子どもがアトピー性皮膚炎によって「勉強や習いごとに集中できないことがある」と回答(図4)、勉強に対する影響を感じている母親が多いことがわかりました。また、子どものアトピー性皮膚炎が悪化するタイミングを複数回答可で確認したところ、母親の63.0%が「冬」、33.9%が「花粉シーズン」と回答しています。受験が本格化するこれからの季節は、アトピー性皮膚炎の子どもを持つ母親にとって勉強に対する影響だけでなく症状の悪化といった心配ごとが増える季節だと考えられます。

(図4)子どもがアトピー性皮膚炎により、勉強や習いごとに集中できない頻度 n=381:勉強や習い事をしている子どもがいる母親




日常生活における影響では、子どものアトピー性皮膚炎によって週1日以上睡眠が妨げられている割合を確認したところ、46.7%の母親は子どもの睡眠が妨げられていると回答し、母親自身も38.2%と高い割合で睡眠が妨げられていることがわかりました。なお、子どもと同じ部屋で寝ている母親の方が子どものアトピー性皮膚炎の影響を受けており、週1日以上睡眠が妨げられている割合において、違う部屋で寝ている母親が19.9%であるのに対し、同室の母親では45.9%と高い結果でした。

睡眠以外の影響については、70.5%の母親が疲労や体力の消耗を感じたことがあり、56.0%の母親は、家事(洗濯や掃除)を負担に感じたことがあると回答しました(図5)。そして、83.3%の母親が、子どもに塗り薬やスキンケア、外用ステロイドを塗ることに負担を感じていました。このように子どものアトピー性皮膚炎は、母親の生活にも大きく影響を及ぼしていることが分かりました。なお、49.1%の母親が、子どものアトピー性皮膚炎のケアを配偶者が行うことは「ほぼ無い」と回答、親の中でも特に母親の負担が大きいことが示されました。

(図5)直近3か月間に、お子さまにアトピー性皮膚炎があることで負担を感じること n=439:全体(*「答えたくない」方を除く)




本調査を監修した、近畿大学医学部 皮膚科学教室 主任教授 大塚篤司先生は次のようにコメントしています。「今回の調査では、アトピー性皮膚炎の症状が、子どもはもちろん、母親の生活にも様々な影響を及ぼすことが分かりました。かゆみなどの症状は、子どもだけでなくご家族の生活にも影響を与えますので、しっかりと治療することが重要です。また、治療の強化が必要だと感じられている母親の中でも、実際に治療薬に関して医師に相談する母親は限られていることが調査からわかりました。具体的にどのような治療薬が、現在使用可能なのか知らないということが一因としてあるのかもしれません。最近は治療の新しい選択肢が登場していて、それぞれのお子さんに合った治療が選択できる時代になってきています。治療や疾患に関する悩みを抱えていることや治療強化を希望していることを、ぜひ積極的に主治医の先生へご相談してみてください」

日本イーライリリーは、今後もアトピー性皮膚炎患者さんに寄り添い、一人でも多くの患者さんが症状による制限のない生活を実現できるよう、貢献してまいります。


調査概要
調 査 主 体 :日本イーライリリー株式会社
実   査 :株式会社インテージヘルスケア
調 査 手 法 :インターネット調査
調 査 地 域 :日本全国
実 施 期 間 :スクリーニング調査 2024年9月4日~9月11日
       本調査 2024年9月26日~10月1日
調 査 対 象 :20~49歳女性、中等症以上の小児(2~14歳)アトピー性皮膚炎患者の子どもがいる方
有効回答数 :443
       <内訳>
       ・ご自身もアトピー性皮膚炎を罹患された経験のある方210名
       ・配偶者がいる方387名
       ・子供が生物学的製剤またはJAK阻害薬(経口)を使用している方21名
監   修 :近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授 大塚篤司先生

調査結果について
詳細な結果については参考資料をご参照ください。
https://mediaroom.lilly.com/jp/previewPDF/2024/24-43.ref.pdf

アトピー性皮膚炎について
アトピー性皮膚炎は、体のあらゆる部位の強い痒み、皮膚の乾燥及び炎症を特徴とする慢性及び再発性の皮膚疾患です(*1)。アトピー性皮膚炎は、臨床的にも生物学的にも多様性のある疾患ですが、症状の表れ方も多彩であり、予測不可能な増悪を伴うことが特徴です(*3)。他の慢性炎症性疾患と同様に、アトピー性皮膚炎は免疫が関わっており、 免疫細胞と炎症性サイトカインの複雑な相互作用が関与しています(*1)。アトピー性皮膚炎患者さんは、 睡眠、日常生活、社会生活に影響しうるほど不快な強い持続性の痒みをしばしば訴え、痒みによって掻いてしまうことで更に皮膚損傷を引き起こします(*4)。

日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。日本の患者さんが健康で豊かな生活を送れるよう、日本で50年にわたり最先端の科学に思いやりを融合させ、世界水準の革新的な医薬品を開発し提供してきました。現在、がん、糖尿病、アルツハイマー病などの中枢神経系疾患や自己免疫疾患など、幅広い領域で日本の医療に貢献しています。詳細はウェブサイトをご覧ください。https://www.lilly.com/jp


*1 Weidinger S, Novak N. Lancet. 2016;387:1109
*2 Website:医師の視点で考えるアトピー性皮膚炎より(https://kyudai-derm.org/atopy/docter/02.html
*3 Langan SM, et al. Arch Dermatol. 2008;142:1109.
*4 Yosipovitch G, et al. Curr Allergy Rep. 2008;8:306-311
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