こちら診察室 リウマチ治療の最前線

リウマチの最新治療 【第10回(最終回)】

 リウマチは、関節に慢性的な炎症を引き起こし、進行すると関節の変形や破壊を招く疾患です。その治療は、症状や進行具合に応じて選択され、痛みの緩和や関節破壊の進行を防ぐことを目的としています。近年では、生物学的製剤の登場により、治療効果が大きく向上しており、従来の薬物療法に加えて新たな選択肢が提供されています。

 リウマチ治療の目標は、痛みを抑えるだけでなく、炎症を根本から抑え、日常生活を快適に送れる状態を維持することです。そのためには、治療の選択肢を正しく理解し、自分の生活や症状に合った方法を選ぶことが大切です。

 ◇症状や進行具合に合わせて治療を行う

リウマチ治療には薬物療法・手術療法・リハビリテーションなどがある(イメージ画像)

リウマチ治療には薬物療法・手術療法・リハビリテーションなどがある(イメージ画像)

 リウマチは、症状の程度や進行具合に応じて治療方法を選択することが重要です。代表的な治療法として薬物療法、手術療法、リハビリテーションがあります。ここではそれぞれの治療法について解説していきます。

 痛みや炎症を軽くするための【薬物療法】

 薬物療法は、関節の炎症を抑え、腫れや痛みを軽減することが目的です。薬物療法はリウマチ治療の基本であり、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)が薬剤として一般的に使用されます。

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、痛みや炎症を軽減する作用があり、日常生活における症状の負担を減らす役割を果たします。また、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)は、関節破壊の進行を遅らせる効果があります。さらに、進行が著しい場合には、生物学的製剤や分子標的薬が使われることがあります。薬剤は、免疫反応を抑えることで症状の改善と進行の抑制を目指します。

 痛みや関節の機能を改善するための【手術療法】

 リウマチが進行し、薬物療法で十分な改善が見られない場合には、手術療法が選択されることが多いです。代表的な手術として、増殖した関節滑膜を取り除く滑膜切除術や、破壊された関節を人工関節に置き換える機能再建術があります。

 滑膜切除術は、炎症の原因となる滑膜を取り除き、症状を軽減することが目的です。一方、人工関節置換術は、関節の可動域を回復し、痛みを軽減することを目的としています。手術療法は、患者さんの症状や希望に基づき、医師と相談の上で選択してください。

 体の機能を回復するための【リハビリテーション療法】

 リハビリテーション療法は、関節の可動域を広げ、筋力を維持・回復することが目的です。運動療法では、専門家の指導の下で関節を動かし、痛みや筋肉のこわばりを緩和します。さらに、温熱療法では、患部を温めて血流を促進し、痛みを軽減します。

 リハビリテーション療法は、患者が日常生活を快適に過ごせるようにするための重要なサポートです。特に症状が軽減した状態を維持するためには、継続的なリハビリが不可欠です。

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