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人間は年を取ると、白髪が増えたりしわができたり、高血圧や糖尿病になるなど、老化に伴う変化や病気が起こる。「ウェルナー症候群」は、こうした老化に伴う現象が20歳くらいから表れ、加速していく病気だ。千葉大学医学部付属病院(千葉市)糖尿病・代謝・内分泌内科の横手幸太郎教授は「ウェルナー症候群は日本人に多い病気ですが、まだ診断されていない患者が数多くいると思われます」と語る。
医師を含めた患者や家族間の情報交換が活発
▽6割以上が日本人
ウェルナー症候群は、人より早く老化が進む早老症の一つで、指定難病に認定されている。思春期を過ぎるまでは何の症状もないが、20歳頃から白髪や白内障、糖尿病や動脈硬化などが表れ、30~40代にかけて加速していく。横手教授は「40歳までにほぼ全員が白内障になります。卵巣や精巣機能も低下するため、30歳を過ぎると、子
恵まれにくい傾向があります」と話す。
世界中の患者の6割以上を日本人が占め、2017年度の横手教授らの調査では、全国で320人の患者が確認されている。「病気になる確率が5万~6万人に1人と考えると、この6倍の潜在患者が存在していることになります」と懸念する。
人のDNAは二重らせんになっていて、細胞が分裂する際、ほどかれたり戻されたりする。このとき、DNAの複製や修復、安定化を図っているのがDNAヘリカーゼと呼ばれる酵素だ。ウェルナー症候群は、この酵素の遺伝子異常が原因とされるが、根本的な治療法は見つかっていない。「昔は近親婚の多い地域での報告が目立っていましたが、今では、日本人の100人に1人が変異した遺伝子を持つことが分かっており、近親婚によらない患者も増えています」
▽活発な情報交換
ウェルナー症候群には特徴的な症状がある。足にうおのめやたこが出来やすく、細胞の老化により傷が深くなると治りづらい。この難治性皮膚潰瘍は患者の80%程度に見られ、強い痛みを伴い、多くが40~50代で車椅子生活になるという。
日々の足の管理や予防が重要であるため、患者や家族、医師を含めた「ウェルナー症候群患者家族の会」「ウェルナー症候群患者家族の会(http://8nkanja.8nkazoku.justhpbs.jp/)」では活発に情報交換が行われている。診断基準や診療ガイドラインが作られ、iPS細胞を使った研究も進められているという。
横手教授は「以前は40代前半だった寿命も50代まで延び、60代の患者も多くいます。ウェルナー症候群の正しい情報と知識を持ち、早期診断と早期治療で重症化を防いでください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/03/18 06:00)
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