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「ゲーム依存」は小学生から
オンライン、より刺激的に-専門医が警鐘

 インターネットがごく普通の存在になる中で、ネット利用をやめられない「ネット依存症」が問題になっている。特に危険なのが、複数の参加者が一緒に楽しめるオンラインゲームだ。毎日長時間プレーする中で、昼夜の逆転や不登校、ゲームをやめるように言われた相手に過剰なまでの攻撃性を示すなどの問題を起こすことが少なくない。専門医は、アルコールやギャンブル依存症などと同様の疾患と捉えて警鐘を慣らしている。

よりリアルになったオンゲーム(2018年の東京ゲームショー)

 ◇ゲームからの影響増す

 「ネットの機能はSNSや動画配信など多彩だが、治療を求めて来院する人のほとんどがゲーム、それもオンラインゲームへの依存が原因だ」。2011年からネット依存に悩む人を対象にした外来診療を始めた国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長は、こう指摘する。

 樋口院長によれば、診療開始当初の受診者が熱中していたのはゲームの中で割り当てられたキャラクターになって物語を楽しむ「RPG(ロールプレイングゲーム)」と呼ばれる種類が多かった。最近はより刺激が強く、短いゲーム時間の中で倒した相手の数を競ったり、ゲーム参加者同士が戦ったりする「シューティングゲーム」が主流になっているという。

 この変化はどういう影響があるのか。樋口院長は「ゲームの内容がより攻撃的で単純になっている分、影響を受ける度合いは強い。従ってはまり込んでしまうと、なかなか引き返せなくなる」と分析する。同センターを受診した小学校低学年の男児は、ゲーム中に付属の音声会話システムを使っている影響か、非常に汚らしく、攻撃的な物言いをするようになってしまった、という。

15年』以上からオンラインゲームは人気(2003年の東京ゲームショー)

 不登校、昼夜逆転の原因に

 「ゲーム中もBGMや効果音と一緒に本人が大声を出すため、家族や周囲には『何事か』と思わせてしまう。当然、日常生活の会話にもこの口調や言葉を使ってしまい、家庭や学校などでの対人関係にも問題が生じてしまっている」

 ゲームにのめり込むあまり、不登校や昼夜逆転、家族との関係悪化などを招く。問題が深刻になればなるほど、ネットゲーム内で同じゲームを楽しむ仲間との関係性の比重が増していく。

 「ゲームの中でチームを組んだり、互いの成果を評価し合ったりする関係が、自分という存在が認められる唯一の場と感じてしまうようになり、ゲームをやめると自分の居場所がなくなる。そんな悩みを訴える受診者が多い」と樋口院長は話す。

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