2024/12/18 05:00
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6月も半ばを過ぎ、湿度も高く、気温も上昇しています。6月から8月にかけてのこのシーズン、気を付けていただきたいのが食中毒です。その予防で大事なのは、食中毒に関する誤解を解くことかもしれません。
刺身をテーブルに置きっ放しは要注意(写真はイメージです)
◇「色」「におい」で判断はダメ
以前、食中毒を起こしたという会社員Aさんの話です。
「仕事が遅くなり、家に帰って冷蔵庫を開けたら、夕食の刺身が残っていた。色もきれいで、臭いもなく、腐っていないので、食べたら明け方、すごい腹痛で目が覚めた。午前中に病院へ行き、腸炎ビブリオと診断された」
においを嗅いで、大丈夫だから食べてしまう、という人が意外に多いのに驚きます。
◇腐敗とは違う
食中毒の原因と腐敗とは、異なります。色やにおいの変化がないから大丈夫、と思うのは危険です。
食中毒の原因になるのは、サルモネラや腸炎ビブリオ、ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌のO157とO111、ウエルシュ菌、寄生虫のアニサキス、ノロウイルスなどです。
こうした菌やウイルスがついても、食品の色やにおいは変わりません。ですから、色やにおいで判断するのは危険です。
◇「冷蔵庫なら安心」ではない
冷蔵庫に入れてあるから安心、というのは危険です。ご存知だと思いますが、冷蔵庫は開け閉めするたびに、庫内の温度が上がります。
室温が高い状態で10秒ほど開けていると、庫内の温度は一気に10度以上も上がり、元に戻るのに15分ほどかかるともいわれています。
食中毒を起こす細菌の多くは、高温になると増殖が活発になります。ですから、冷蔵庫は温度を10度以下に保つことが大事です。10度以下になると、細菌の増殖のスピードは低下します。
ノロウイルス(国立感染症研究所提供)
冷凍庫も、マイナス15度以下に保つことが大事です。何度も冷凍、解凍を繰り返すうちに、細菌が増殖しやすくなるからです。
◇刺身は真水で洗う
腸炎ビブリオ菌は、塩分のある所で増殖します。刺身は真水で洗い、冷蔵庫に保存して、すぐに食べる。食卓の上に出しっ放しにせず、すぐに食べることが大事です。
パーティーなどで、テーブルに置きっ放しになっている刺身やカルパッチョを見ると、不安になることがあります。周囲の気温が上昇すると、菌がどんどん増殖することを覚えておいてください。
◇加熱にも耐える菌
夏場で食欲が低下したとき、カレーはおいしいですね。一度作り置きしておくと、便利なので、家庭で作って保存することも多いと思います。
ただ、カレーや煮込み料理などを作るときに注意したいのが、ウエルシュ菌による食中毒です。
ウエルシュ菌は、下水や土壌、人の腸管などに存在する菌です。酸素のないところで増殖し、植物の種のような芽胞(がほう)を作ります。この芽胞は、摂氏100度での1~6時間の加熱に耐えるとされています。
夏においしいカレー。しかし、作り置きを常温で放置するのは危険(写真はイメージです)
カレーや煮込み料理を作り置きする場合は、室温で放置せず、速やかに冷却し、10度以下で保存、加熱は十分に行う、などを心掛けてほしいと思います。加熱したから大丈夫と思い、そのまま室温放置するのは危険です。
◇手の傷からも菌が
調理する際、手をせっけんでよく洗うのはもちろんですが、生肉や魚に触れた後も手を洗うことが必要です。
まな板は使用後、洗剤で洗い、最後に熱湯で消毒しておきます。ふきんはこまめに取り換えることも必要です。
手に化膿した傷がある場合は、ブドウ球菌が付着していることがあり、食中毒の原因になります。
ブドウ球菌は、毒素を産生します。この毒素は、摂氏100度での30分の加熱に耐えます。
ブドウ球菌による食中毒の症状は、腹痛や下痢で、食後3時間ほどで起こり、強烈です。手に傷がある場合は、調理を避けるくらいの注意が必要でしょう。
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