出血 家庭の医学

 出血には、①動脈性(ドクドクと脈打って多く出血する)、②静脈性(ジワジワと多く出血する)、③毛細血管性(ジワジワと出るが出血量はあまり多くない)があります。見きわめが大切です。くわしくは「応急手当て」の止血のしかたをみてください。
 出血した血液はふつう、もちのように固まり止血させる性質があります。しかし、水の中では固まることができず出血し続けます。また脳梗塞や心臓の病気で、あるいは血管や心臓の手術をしたあとに服用している薬のなかには、血の流れをよくするためのものがあり(アスピリン製剤、血液抗凝固薬、微小循環促進薬など)、このような薬剤を服用している人は出血がとまりにくく、皮下出血も思いのほか多くなり、消えるまで長い期間がかかります。時には、大したけがでもないのに大出血を起こします。
 高齢者では血管が弱く、ちょっとしたけがでもジワジワと出血することがあります。また、血友病などの血液の病気やビタミンC欠乏などでも血がとまりにくくなります。前述のような薬剤を服用している人や血液の病気の人は、胃・十二指腸潰瘍や婦人科の病気で出血が多量となり、生命に危険を及ぼすこともあります。

■外出血
 ふつう、血は自然にとまる性質があります。大きな血管では無理ですが、出血しているところを、あわてずガーゼなどの上から手や指で強く圧迫し、心臓より高くするとたいていは一時的でも止血されます。

 5~6分間圧迫したあと、手を離すと出血はたいていとまっています。それでも出血しているような場合は、出血しているところと圧迫しているところがあっているかを確かめてから、また止血します。

■内出血
 打撲したあとに皮膚が青から紫色になることは、皮膚の下に出血したことを意味しています。これが皮下出血です。この皮下出血や肺や腹の中に出血することを内出血といい、多量に出血すると生命の危険があります。
 皮下出血はふつう、1~2日でひろがりはとまります。この時期、出血を最小限に抑えるために、その部分を動かさないように安静にし、冷やし、圧迫し、心臓よりその部分を高くすることです。出血量が少なければ少ないほど、短い期間で治ります。くわしくは「応急手当て」の止血の方法を参考にしてください。
 打撲や捻挫(ねんざ)で、はじめはあまり痛くなくてもしだいにはれてきて、痛くなることがあります。翌朝、はれに気づき、痛みのために動かすことができなくなったといった経験をしたことがあると思います。それは徐々に皮下出血が起こり、はれたためと考えられます。たとえ、はじめに痛みやはれがなくても、圧迫や冷却はしておいたほうがよいのです。最初の処置が大切です。くわしくは「スポーツ傷害」をみてください。
 多量の皮下出血では、血が固まると皮下にかたくかたまり(血腫といいます)となって、触れられます。その後、数週間でやわらかくなりながら、自然に消えていきます。この時期、血のかたまりをからだが吸収しています。皮膚の色も青紫が薄くなって黄色になり消えていきます。血腫の部分に細血管がたくさん発生し、吸収されます。この時期には、もんだり冷やしたりしないほうがよいのです。
 むしろ、温め、関節や筋肉をゆっくり大きく伸ばしたり、縮めたりすることが早く治る方法です。青いからといって、長期間冷湿布することは血流を悪化させることがあり、また、しこりがあるからといって強くもむことは細血管を損傷することがありますので、得策ではありません。しこりが大きい場合、医師が切開し血腫を取り除くこともあります。
 おでこの皮下出血が目のまわりにおりてきてパンダのような顔になることや、ひざを打って起こった皮下出血が足くびにおりてくることがあります。一見関係のないようなところが紫色になりますが、血腫は重力により下がってくるのです。
 血腫は細菌にとって栄養源ですので、細菌感染したときは取り除く必要があります。

(執筆・監修:八戸市立市民病院 事業管理者 今 明秀)
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