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靴擦れやタコ、水虫ややけどなどによるちょっとした足の傷が大きくえぐれた状態になる「潰瘍」や、組織が死んでしまう「壊疽(えそ)」は、糖尿病が原因で生じる合併症の一つだ。これを「足病変」と呼び、壊疽まで進むと足を切断せざるを得ないこともあるため、傷が改善しない場合は迷わず医療機関を受診してほしい。
▽靴擦れや水虫などが悪化
糖尿病を発症し、血糖値が高い状態が続くと、全身の血管が傷ついて足の神経や血流に障害が起こる。すると足先の血行が悪くなり、靴擦れ、タコ、水虫などの傷ができやすくなり、また治りにくくなる。
日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)創傷ケア外来の日吉徹部長(糖尿病内分泌科部長兼任)は「血糖のコントロールが悪い人は足病変悪化のリスクが高まります。さらに、足の神経障害や動脈硬化による血流障害のある人、独居高齢者で介助者のサポートがない場合は、足病変を生じやすい」と説明する。過去に足の潰瘍や壊疽を経験している人は、再発の可能性が高いという。
▽足の切断例は半分以下に
足病変に対して、血流を改善するための薬物療法、血管内治療、手術、傷や感染症の治療、靴や中敷きを調整して足の傷に圧力をかけないようにするフットケアなどが行われる。血糖値が高い人は厳格なコントロールが必要になる。
同センターでは2006年から、糖尿病内分泌科医、皮膚科医、整形外科医、放射線科医、義肢装具士などによる専門チームで足病変の治療に積極的に取り組んできた。治療対象となるのは、足の傷が3カ月以上治らない糖尿病患者だ。チームが目指すのは膝上や膝下での足切断の回避であり、潰瘍や壊疽を来した原因を見極め、適切な治療を迅速に行っている。
重症患者は入院で、通院可能な人は外来で週1~2回治療を受ける。07年から15年までの治癒率(足前半=足の爪先から甲の辺りまで=を切除し装具を着けて歩ける人を含む)は61.1%。膝上または膝下の切断(大切断)率は4.2%で、切断に至った患者数は専門チームで取り組みを始める前の半分以下になったという。
日吉部長は、足病変の悪化を防ぐには「足に異常がないか常に確認し、靴擦れやタコなどは小さい傷のうちに治すことが大切です」とアドバイスする。専門治療を行っている施設は日本下肢救済・足病学会のホームページに掲載されている。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/02/07 07:00)
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