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日本医師会(日医)は5月31日、東京・文京区の日本医師会館で第1回全国医師会産業医部会連絡会議を開催した。同会議は、組織化の遅れている産業医への支援を本格的に展開することを目的としている。記念講演を行った横倉義武会長は、新型コロナウイルス感染拡大の経験も踏まえ、疾病の予防に向け「行動する産業医」の育成を目指し、日医が積極支援を進めていく方針を表明した。
第1回全国医師会産業医部会連絡会議で講演する日本医師会の横倉義武会長=2020年5月31日、東京・文京区の日本医師会館
会議では、日医の松本吉郎常任理事が、「産業医の現状を踏まえ連絡協議会が目指すもの」と題した説明と報告を行った。その中で松本理事は、日医の認定産業医総数が2019年に10万人を超える一方、所定の研修を受けた認定有効者数が約6万7000人で、そのうち産業医として実際に活動しているのは半数を下回る約3万2000人であることを明らかにした。
また、全国の都道府県医師会、郡市医師会を通したアンケート調査で、企業と契約して労働者の健康管理に携わる産業医が直面する課題として「産業医活動に対する支援がない」「(産業医の)業務が多様化して対応が難しい」「産業医と企業のマッチングを行う体制がない」などが挙げられていることも分かった。このため、同理事は日医が主導し、すべての産業医が地域の事情に即した活動支援を受けられるネットワークの充実・強化に努める考えを示した。
第1回全国医師会産業医部会連絡会議=2020年5月31日、東京・文京区の日本医師会館
会議ではこのほか、日医産業保健委員会委員長の相澤好治・北里大名誉教授が産業医制度の歴史的変遷について講演し、岡山県医師会、三重県医師会、埼玉県の大宮医師会から産業医支援の取り組みについて報告があった。
さらに、独立行政法人労働者健康安全機構の大西洋英理事が同機構の産業保健総合支援センターの取り組みを、公益社団法人日本産業衛生学会の森晃爾副理事長が学会としての産業医支援体制について説明するとともに、産業医科大学の一瀬豊日進路指導副部長が産業医需要供給実態調査の結果を、一般社団法人日本精神科産業医協会の渡辺洋一郎代表理事が同協会の嘱託産業医支援事業の内容を解説した。
なお、この会議が開催された医師会館小講堂の会場は、約50人の参加者が「3密」を避けられるように机、椅子の配置を工夫する一方、ビデオ会議システムを使って会議の内容を生中継し、全国で約250人が視聴した。
(2020/06/01 12:56)
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