治療・予防

聞こえに影響―耳垢栓塞
月1回の耳掃除で予防 ミルディス小児科耳鼻科 平野浩二院長

 耳あかは、古くなって剥がれ落ちた皮膚や皮脂などが固まったものだ。耳垢栓塞(じこうせんそく)は、この耳あかがたまり過ぎて耳の穴(外耳道)をふさいでしまった状態を指す。ミルディス小児科耳鼻科(東京都足立区)の平野浩二院長は「たかが耳あかと思いがちですが、耳垢栓塞は聞こえにも影響するので、除去が必要です」と強調する。

予防のため、月に1度くらいは耳掃除を

 ▽認知機能の低下も

 耳あかには乾いたタイプと湿ったタイプの2通りがあり、耳垢栓塞になりやすいのは湿ったタイプだ。しかし、乾いたタイプでも、プールやシャワーの水で耳あかがふやけて耳垢栓塞になることがあるという。また、耳掃除の仕方が悪く、耳あかを取っているつもりが奥に押し込んでしまい、耳垢栓塞を招く例もある。

 耳には自浄作用があり、本来耳あかは顎の動きなどによって自然と外に押し出される。しかし、特に子どもは新陳代謝が良い上に外耳道が狭いので、耳あかがたまりやすく、気付いたときには両耳が耳垢栓塞になっていたというケースは珍しくない。

 自浄作用が低下する高齢者も要注意だ。平野院長は「加齢による難聴に加えて耳垢栓塞があると、さらに聞こえにくくなり、コミュニケーションが希薄になることで認知機能の低下につながります」と指摘する。80代以上の高齢者の約2割に耳垢栓塞が見られ、耳あかの除去で認知機能が改善したとの研究結果がある。

 ▽点耳薬で耳あか除去

 耳垢栓塞の症状は、聞こえにくさ、耳の圧迫感などで、外耳道に炎症が起こるとかゆみなどが表れることもある。治療は、硬くなった耳あかを柔らかくする点耳薬を用いる。自宅で何回か薬を付けてから医療機関を受診して除去するケースや、医療機関で点耳薬を入れて除去するケースなど、手順は耳あかの程度により異なる。平野院長は「外耳道や鼓膜を傷つけてしまう恐れがあるので、自分で取ろうとしないでください」と注意を求める。

 耳に備わる自浄作用には個人差があり、夏場は汗もかくので、時々耳掃除をするのは衛生面でも有効だという。「よく耳あかを取ってもらうためだけに耳鼻科を受診してもいいのかと尋ねられますが、全く問題ありません。むしろその方が、安全で確実に耳あかを除去できます」と平野院長。

 月に1回程度の耳掃除で耳垢栓塞は予防できる。「寝たきりの高齢者の場合も、普段から家族が注意し、主治医に相談してください」と勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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