2024/12/18 05:00
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ヘイトクライムの被害に遭った海野雅威さん【時事通信社】
新型コロナウイルスの感染拡大が始まってからもう1年が過ぎようとしています。外出をはじめ日常生活の制限で気持ちが落ち込みがちな毎日です。家にいる時間を少しでも快適にするためにうちの中で楽しめる本や音楽を用意しておくのもいいですね。
そこで今回は、ニューヨーク(NY)で活躍するジャズピアニスト海野雅威さんにコロナで巣こもり中にお薦めの曲を紹介していただくことにしました。海野さんは昨年秋、NYでコロナによるアジア系に対するヘイトクライムによる暴行で被害を受け、右腕の手術を受けて現在リハビリを行っています。(聞き手・文 海原純子)
―よろしくお願いします。久しぶりに元気な声を聞けてうれしいです。海野さんが渡米なさる前、まだハリー・ポッターにそっくりの青年だったころ六本木でよく演奏を聴かせていただきました。腕の調子は、いかがですか。
海野 お久しぶりです。今は、毎日リハビリをしていて、一進一退の状態で波がありますが、その波を感じながら希望を持ち前に進んでいます。皆さんに心配していただいて、本当に感謝しています。
こういう時期にお薦めの音楽ということですね。僕の事件やけがもそうですが、コロナ禍というのは思い通りにいかないということですよね。その中でどう生きるか、ということと向き合うわけですけど。
こういう時の気持ちは、もう「ブルースだ」と思うのです。
―そうですね、確かに。
海野 ブルースというと僕の中ではやはりレイ・チャールズ。どのアルバムも素晴らしいけれど、特に1959年の「The Genius of Ray Charles」が大好きです。このアルバムでは、ジャズ・スタンダードもたくさん演奏していて、一番最後にCome rain or come shine を演奏しているんです。
レイ・チャールズが歌うこの曲の詩、「幸せな時も、そうでない時も、お金があろうが、なかろうが、いつも私たちは一緒」雨の時もあれば、晴れの時もある、それがブルースだな、と思います。
人間は雨の日は憂鬱(ゆううつ)な気分になってしまいがちで晴れの日ばかり望んでいたり、でも実際そうはいかない。これもまた人生でして。きっと雨にも大切な意味があるのでしょう。特に、このコロナ禍の今は毎日が雨のような状況かもしれませんね。先が長くて見えない感じがするのですけど、やまない雨はなく、そして、雨の後には虹が架かり、雨降って地固まる、という新しい世界の幕開けを信じます。
この歌詞、ジョニー・マーサーの詩ですけど、味わい深くて大好きなんです。ジャズ・スタンダードは恋愛についての歌詞が多いのですが、この詩は単なる恋愛ソングではなく、Come rainでもCome shine でも雨でも晴れでも、いい時も悪い時もすべてを含むのが人生、と励まされているように感じます。
僕は老子が好きなのですが、この精神は老子にも通じるものがありますね。それをレイ・チャールズが歌うのを聴くとこういう時期にぴったりだと思うんです。
(2021/02/22 07:55)
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