治療・予防

「6月病」にご用心
~我慢し続けるとうつ病に(人形町メンタルクリニック 勝久寿院長)~

 近年、増えているという心身の不調を来す「6月病」。新入生や新入社員らが訴える「5月病」との違いは何か。その症状と予防法について、人形町メンタルクリニック(東京都中央区)の勝久寿院長に聞いた。

適応障害とうつ病の違い

 ◇うつ病の予備軍

 5月病は、入社や人事異動など新年度に始まった環境変化によるストレスが高じて、大型連休明けに不安感や抑うつが強くなる状態。医学的には適応障害と診断される。

 一方、6月病は、ストレスがあっても我慢を重ねた結果、次第に症状が悪化することを指す。精神科を受診すると、主にうつ病と診断される。4月に転勤や異動を経験する中高年の会社員に多く見られる。

 適応障害とうつ病の違いについて、勝院長は「ばねに例えると、ストレスの重さでばねが伸び、すぐに具合が悪くなるのが適応障害。ばねが伸びているのに我慢しているのがうつ病です」と説明する。その結果、「重りを外したとき、適応障害はばねが戻りやすいのですが、うつ病はばねが伸びきり、元に戻らなくなります」。

 適応障害の人は、会社に行かない休日は比較的元気になり、外出したりできる。うつ病になった人は、休日でも調子が悪く、横になってしまったりする。

 6月病を患うと、体がだるい、胃の調子が悪い、肩が凝る、胸が締め付けられるなどの身体症状が表れることが多い。内科を受診しても症状が治まらず、不安や抑うつ、興味・関心の低下などの症状が強くなり精神科にかかるケースが多いという。

 ◇ストレス減らし、気分転換を

 6月病になりやすい人は生真面目なタイプが多く、任された仕事に全力を尽くしがちなので、一層負担感が増す。そんな場合、家族や友人、趣味など、複数の柱で支えることでストレスは軽減される。

 音楽を聴く、風呂に入る、腹式呼吸をする、といったリラクセーションをすることも良い。日常的に散歩や運動をしたり、旅行したりするのも気分転換になる。飲酒やギャンブル、過剰な買い物は依存しやすくなるので要注意だ。

 「普段と様子が違う元気がない人が周りにいたら、『何かできることがあったら、言ってね』などと声を掛けましょう。気に掛けていることを伝えるだけでも、相手の気持ちは楽になります」と勝院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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