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多くのがん患者はインターネット検索などで情報を集めているが、中には誤ったものも多く、医療の現場や治療に及ぼす影響は大きい。国立がん研究センター(東京都中央区)がん対策情報センター本部の若尾文彦医師に話を聞いた。
科学的根拠に基づく情報を
◇標準治療は最高の治療法
若尾医師は最新の医療について、「安全や効果が科学的に確認されていない、確立されていない研究段階、実験段階の医療技術で、健康保険の対象になっていません」と話す。
一方、標準治療は「語感のイメージから『普通の治療』と考える人がいますが、実はしっかり治験を行い、効果があると認められています。健康保険の対象で、診療ガイドラインにも掲載され、現時点で最高の治療法です」。
患者が情報を検索する際に注意すべきは、その情報源だ。
「信頼できる医学雑誌に掲載された論文や診療ガイドラインの情報であれば、信頼度は高いです。しかし、専門家の意見や学会発表時点の内容は、科学的に確認されていないものもあるので、うのみにしない方がいいです」
よくある「この治療法で確実に治ります」のような表現にも注意する。「実際の医療現場では断定的な言い方はしないものです」
さらにネット検索すると、「広告」と明記されたサイトが複数表れるが、科学的根拠(エビデンス)に基づかない不確かな情報に誘導されることもあり、より注意が必要だ。
◇国立がん研究センターの活用を
がんと診断されると、当事者は混乱し、冷静な判断ができなくなりがち。だからこそ医師に、がんの種類はどのようなもので、どれくらいがんが広がっているのか、がんのステージ(病期)、勧められる治療法の期待される効果、メリットとデメリットなど、現状と対策を確認するのが肝要だ。
また、相談窓口「国立がん研究センターがん情報サービス(https://ganjoho.jp)」では、治療、仕事、費用などの情報を得ることもできる。ナビダイヤル 0570(02)3410(平日午前10時~午後3時)は、全国450カ所以上のがん診療連携拠点病院などに設置されている「がん相談支援センター」を案内し、相談にも応じている。
「1人で悩まずに、ぜひ情報窓口を利用してください」と若尾医師は勧めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/08/04 05:00)
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