治療・予防 2024/11/22 05:00
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~アレルギー患者で活性化(信州大学医学部付属病院 柳沢龍准教授)~
梅雨明け後に待ち受ける真夏の太陽。顔や体にはしっかりと日焼け止めを塗るが、頭部はどうか。全身で最も日光に近い髪や頭皮が、実は一番ダメージを受ける。明日からでも取り入れてほしい予防方法とケアについて、専門家に聞いた。
「夏は紫外線が強くなる季節。守るケアと育むケアの両方を意識して」と毛髪診断士の斉藤あきさん
◇紫外線量は肌の倍以上
髪や頭皮に降り注ぐ紫外線の量は肌の2~3倍に上るとされていて、日焼け止めを塗っていなければ、まさに無防備状態だ。
毛髪診断士の斉藤あきさんは、紫外線が髪に深刻な影響を及ぼすと指摘。「髪の毛を構成しているタンパク質が破壊される。表面に層状に重なって内部組織を守っているキューティクルが剝がれてボロボロになったり、層の数が減ったりすると、中の水分、油分、栄養分が失われやすくなる」。手で触ればパサパサしたり、ゴワゴワしたりするという。髪を染めている場合、カラー剤が流れやすくなるため、退色の恐れもある。
頭皮はより深刻なダメージを受ける。波長の長い生活紫外線A波が奥の真皮まで入り込み、組織や細胞同士を結び付けていたコラーゲンだけでなく、ヒアルロン酸やエラスチンといった弾力成分も破壊する。弾力性のない硬い頭皮は血行不良を起こし、髪に栄養が行き渡らなくなる。「頭皮の状態悪化は土台の悪化。将来生えてくる髪の毛の質を低下させるので、悪循環に陥る」(斉藤さん)。
日焼け止めはスプレーやオイルなど、好みの種類を選べる。スプレータイプなら頭皮には分け目も念入りに、髪には満遍なく吹き付けた後、ブラシでといて全体にむらなくなじませてほしい。簡単に実行できるのは日傘や帽子の着用だが、帽子は頭皮が蒸れるので注意が必要だ。
スコープで80倍に拡大した頭皮を観察し、診断する
◇正しい洗髪・保湿を
日焼けしたまま髪の毛や頭皮を放置したらどうなるか。斉藤さんは「薄毛や白髪の原因になるので、それぞれしっかりとしたケアが必要」と話す。
今生えている髪の毛の見た目を改善したければ、トリートメント剤で栄養を補給。より大事なのは、これから生えてくる髪の毛をいかに健康な髪にするかで、専門家は「まずは頭皮ケア」と声をそろえる。
医療法人康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾の皮膚科医、日比野佐和子医師は「紫外線を浴び続けることで活性酸素が過剰に発生し、皮膚深部の細胞を傷付ける。細胞の死滅により、頭皮は弾力性を失うとともに乾燥し、バリアー機能も低下する。浴びれば浴びるほど抵抗力は低下するため、避けてほしい」とした上で「スキンケアと同じように日常的に頭皮もケアする必要がある」と強調する。
日焼けして赤く炎症を起こしている頭皮(左)と健康な頭皮
まずは正しいやり方で洗髪しよう。頭皮は他の皮膚に比べて皮脂腺と汗腺の数が多く、皮脂や汗で汚れやすい。皮脂の分泌量が多いと酸化して臭いの原因になったり、常在菌が増殖して皮膚炎を起こしやすくなったりする。「洗い過ぎや乾かし過ぎに注意して、清潔に保つことが大事だ」(日比野医師)。
生活習慣の乱れも頭皮環境に影響するという。日比野医師は「お酒の飲み過ぎや喫煙、脂肪分が多い食事は、血液循環を悪化させる。過激なダイエットも控えてほしい。栄養が届かない硬い頭皮は、日焼けによるダメージを受けやすい」と解説。そして「保湿も十分に。生活している中で生じるさまざまな刺激から守り、頭皮を健康に保つケアを、年齢に関係なく日ごろから意識してほしい」と呼び掛ける。
(2023/07/19 05:00)
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