Dr.純子のメディカルサロン

物忘れと認知症

 物忘れがひどくなって「自分は認知症じゃないか」と心配する方が多いですね。また、外来で認知症のご家族を持つ方からご相談を受けることもしばしばです。認知症への関心はとても高いのですが、認知症についての正確な知識をお持ちの方はごくわずか。

 そこで質問です。

 加齢による物忘れと認知症の違いはなんでしょう?

 まずは本人の自覚があるかないかです。物忘れをして「自分は認知症ではないか」と心配するのは老化。認知症の方には「忘れた」という自覚がありません。

 老化による物忘れは体験の一部を忘れますが、認知症の場合は体験したこと自体を忘れてしまいます。例えばコンサートに出掛けた後、演奏した人の名前を忘れるのは老化現象です。認知症の場合はコンサートに出掛けたことを丸ごと忘れてしまいます。つまり、ご自分で「自分は大丈夫なのか」と心配している方は、現時点では大丈夫です。

 地方自治体が認知症に関してさまざまな取り組みをしています。2017年11月末、講演で愛媛県西予市を訪れた際、市が作成した「認知症あんしんノート」を拝見しました。これが実によくできていてご紹介しようと思いました。

 このパンフレットは一人暮らしの高齢者が安心して暮らすため、そして認知症のご家族を持つ方をサポートするために2,000冊が配布されたそうです。

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