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食事がおいしく感じられない、料理の味付けができなくなった、など味覚の低下や障害が起こるのが「味覚障害」だ。塩分や糖分の取り過ぎの原因になりやすく、食欲が落ちることによる低栄養など、二次的な健康被害につながることもある。東京女子医科大学(東京都新宿区)耳鼻咽喉科の山村幸江講師・医局長に、症状や治療法などを聞いた。
味覚障害の主な原因
▽症状は多種多様
一口に味覚障害といっても、〔1〕味を感じにくくなる(味覚減退)〔2〕味が全く分からなくなる(味覚消失・脱失)〔3〕何も食べてないのに苦味や塩味を感じる(自発性異常味覚)〔4〕甘味やうま味など特定の味が分からない(解離性味覚障害)〔5〕甘いものなのに苦く感じるなど違う味を感じる(異味症)〔6〕何を食べてもまずいと感じる(悪味症)―など、症状は幅広い。
山村講師は「女性は調理をする人が多いため、家族から味付けの変化を指摘されて、病気に気付く場合もあります。しかし、男性は病気の自覚がなかったり、仕事が忙しくて治療をしない人が多い」と説明する。
▽亜鉛摂取や薬で改善
口の中で食べ物から味を取り込んでいるのは、舌や上顎の裏など、口腔(こうくう)内の広い範囲に広がる味蕾(みらい)という器官の中にある味細胞だ。この細胞が得た味覚の情報が脳に伝わり、味として認識される。だが、この伝導経路に障害が起こると、味の認識に異常を来すことになる。
原因は、味細胞の再生を促す亜鉛の不足、唾液の分泌低下により口腔内が乾燥するドライマウス、シェーグレン症候群、抗がん剤など薬剤の副作用、薬剤や心因性による唾液分泌低下、カンジダ菌というカビの口腔内での繁殖など、多様である。
山村講師は「塩味や甘味を感じにくくなると塩分や糖分の取り過ぎを生じがちで、生活習慣病の患者では、症状を悪化させる原因になりやすい」と注意を促す。
治療の基本は、まず亜鉛を十分に取ること。亜鉛は、貝類のカキやアサリ、カタクチイワシ、チーズなどに多く含まれる。食事で十分取れない場合は、サプリメントや亜鉛製剤で補う。心因性の場合は抗うつ薬や抗不安薬、ドライマウスの場合は唾液の分泌を増やす薬で改善する。カンジダ菌を繁殖させないためには、義歯の掃除や口腔ケアなどで予防を心掛けることも大切だ。
山村講師は「味覚障害は発症して6カ月以上経過すると、治療も長引き、治りにくくなります。早めに対処することが大切です」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/02/09 05:55)
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