東京都墨田区の賛育会病院(高本真一院長)が、親が育てられない乳幼児を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」の設置準備を進めていることが28日、関係者への取材で分かった。病院にのみ身元を明かして出産する「内密出産制度」とともに来年春以降の開始を目指している。
 赤ちゃんポストは2007年5月に熊本市の慈恵病院が国内で初めて設置。江東区の医療法人社団「モルゲンロート」も来年秋の設置を目指しているが、賛育会病院の取り組みが順調に進めば、医療機関では国内2カ所目となる可能性がある。
 関係者によると、病棟の外壁に差し入れ口となるポストを作り、内側に保育器を設ける。受け入れ後は児童相談所や警察と連携し、乳児院や里親などにつなげる。
 内密出産については、親の氏名や住所、生年月日などを病院が独自に保管。子が将来、希望すれば親の身元情報を確認できるようにする。開示年齢は16歳とする案を中心に検討している。
 妊娠や出産に関する相談体制も拡充する。平日の日中に加え、午後10時まで対応する夜間窓口を週3日開設する。
 病院側は既にポストや内密出産の手続きの流れを示した図を作成中で、都や区など関係機関への説明を始めているという。
 賛育会病院の計画について、慈恵病院の蓮田健院長は「東京に受け皿ができる意義は大きい。孤立した女性がいつでも安心して相談できる体制を整えてほしい」と話している。 (C)時事通信社