一流に学ぶ 天皇陛下の執刀医―天野篤氏
(第23回) 「医師目指す動機付けを」 =高校生対象、体験プログラム
3年前に新聞社の後援を得て、天野氏は高校生を対象にした医療体験プログラムを開始した。公募した作文で選考し、医療者目線で、手術室や病棟などでの仕事を体験してもらう取り組みだ。
「外科医のなり手が少ないという危機感があるから、ちょっとでもその気がある子に外科の魅力に触れてもらい、目指してくれたらなと期待しています」
医学部に入学する学生には、子どもの頃から成績が良いからと周囲に勧められ、受験を突破した人が少なくない。天野氏は順天堂大学で学生を指導する中で、医学部に入学した途端に目標を見失ってしまう学生に数多く接した。
「医学部を受験する学生は何を学びたいかではなく、偏差値を基準に大学を選ぶことが多い。そこが一番の問題です。どの大学で勉強したいか、誰に習いたいか、どの科のどの医師のようになりたいか、そういうのをもっと早い段階で決めておけば、きっといい医師が育つと思うんですよ」
天野氏自身も受験勉強に身が入らなかったのは、ただ医学部に入るというのが目標で、具体的に何を勉強したいか見えていなかったことが一因だと分析する。
「学んだことを自分の人生だけではなく、社会にも還元していく気持ちを持ってもらうために、高校生の頃から動機付けをしっかりしなければいけないと考えたわけです」
しかし、どんな医師を目指すかと言われても、高校生が医師の仕事を身近に感じるのは、自分や家族が病気になったときの限定的な患者体験しかない。そこで実際の医療現場を詳しく見せ、少しでも具体的なイメージをつかんでもらって、医師を目指す動機付けにしてもらおうと思った。
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(2017/04/24 10:47)
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