株式会社メタジェン
株式会社メタジェン(代表取締役社長 CEO・福田 真嗣 以下、当社)は、キューサイ株式会社(代表取締役社長 佐伯 澄)との共同研究で、4週間にわたるケールの摂取が腸内環境を変化させ、排便回数を増加させることを明らかにしました。また、その効果が得られるヒトの特徴として、排便量が少ないことを見出しました。本研究成果は、2023年11月29日、オンライン科学雑誌「Frontiers in Nutrition 」に掲載されました。
<研究の背景>
便秘は地域・年代を問わず多くの人が悩まされている症状で、精神的ストレスや生活環境の変化などによって引き起こされます。近年では、プロバイオティクス・プレバイオティクスの摂取により便通を改善できることが報告されています。
ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科植物を摂取することで、様々な健康効果をもたらすことが知られています。その中でもスーパーフードとして知られるケールはケルセチンなどのフラボノイドや食物繊維を豊富に含んでいることから腸内環境の改善効果があると考えられ、実際にマウス試験でも腸内環境が改善することが報告されていました。しかし、ヒトの腸内環境に与える影響は分かっていなかったことから、ケールの継続的な摂取がヒトに与える影響を評価するため、本共同研究を実施しました。
<研究成果の概要>
本共同研究では、日本人の成人女性24名を対象に4週間にわたってケール粉末およびプラセボ(とうもろこし由来デンプンおよびマルトデキストリン粉末)を摂取してもらい、便通の評価および腸内細菌叢・腸内代謝物質の解析を行いました。なお、試験食品の持ち越し効果を排除するため、各試験食品摂取期間の間に4週間のウォッシュアウト期間を設けました。主な結果は以下の4点です。
摂取4週目において、プラセボ摂取群と比較してケール摂取群で排便回数が有意に多かった
摂取2週目および4週目において、ケール摂取群で[Eubacterium ] eligens group[1]の存在比が有意に多く、[Ruminococcus ] gnavus group[2]の存在比が有意に少なかった
摂取2週目および4週目において、ケール摂取群でピメリン酸[3]濃度が有意に高く、モルホリン濃度[4]が有意に低かった
ケール摂取により排便回数が増加するヒトは、ケール摂取前に排便量が少ない特徴があることが明らかとなった
[1] ペクチンなどの食物繊維を栄養として利用し、抗炎症性サイトカインであるIL-10を産生する
[2] 主に炎症性腸疾患やアレルギーと関連のある菌であるが、株によって有益な効果も報告されている
[3] ビタミンB7(ビオチン)の前駆体。ビオチンは糖や脂肪酸、アミノ酸の代謝において補酵素としてはたらき、エネルギー産生に関わるほか、皮膚や粘膜の維持に深く関わる
[4] 生体や腸内環境に与える影響は未だ報告されていない
<研究の意義>
本共同研究により、ケール摂取により腸内環境が変化し、便通が改善する可能性が示唆されました。また、便通改善効果が特に得られやすいヒトの特徴も明らかになりました。さらに、本試験で増加した [Eubacterium ] eligens groupは炎症性サイトカインの一種であるIL-10の産生を促進することがin vitro 試験で報告されており[5]、IL-10の増加を介して腸内の炎症が抑制される可能性も示唆されました。
当社は、今後も腸内環境の層別化に着目した研究開発を推進し、最先端科学で病気ゼロを実現すべく、さらに邁進してまいります。
[5] Chung et al., FEMS Microbiol. Ecol. 2017;93(11):10.1093/femsec/fix127.
<論文に関する情報>
【論文タイトル】
Kale improves bowel movements in constipated women and affects some intestinal microbes and metabolites
【著者】
Yuichiro Nishimoto, Felix Salim, Yuka Mori, Shinnosuke Murakami, Suzuki Asahi, Shinji Fukuda, Takuji Yamada
【掲載紙】
Frontiers in Nutrition
【掲載日】
2023年11月29日
【DOI】10.3389/fnut.2023.1247683
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(2023/12/11 11:00)
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