国際医療NGOジャパンハート シンポジウム「イノベーションが生まれる当事者の作り方」開催
認定NPO法人ジャパンハート
「誰かがやれば、必ず後に続く人が出てくる、そう信じている」
日本発祥の国際医療NGOである(認定)特定非営利活動法人ジャパンハート(東京都台東区 理事長:吉岡春菜 以下ジャパンハート)は、横浜創英中学・高等学校校長工藤勇一さんをお招きし、ジャパンハートファウンダー・小児外科医吉岡秀人とのシンポジウムを開催しました。
「孤独になること」そして「フレームを壊す」
まずはじめに、ジャパンハート副事務局長の高橋より、ジャパンハートの概要と、令和6年能登半島地震の被災地支援活動について報告。その後「イノベーションが生まれる当事者の作り方」をテーマに工藤勇一さんと吉岡秀人のトークセッションを実施しました。
トークセッション冒頭では教育、医療それぞれの道で"チェンジメーカー"となっていったプロセスについて、工藤勇一さんは「まずどうやったらこの学校を立て直せるかを考えました。人間関係としては、まずは敵を作らない、味方を作らずに孤独になることが大事です。孤独になってどういう順番でどんな風に人と信頼関係を作ればよいのかを考えていきました。」と述べた上で「目の前の子どもたちと目の前の学校をよりよくするために何が必要か考え、そのために自分の知識やスキルをためていった結果、今は価値観が違う教員たちがいても何も思わない。予想通り。詰将棋のようにやっているイメージです」と振り返りました。
主体性を失わせない教育を
吉岡秀人は、チェンジメイクするためには「既存の『フレーム』の形を変える、あるいは壊すことが大事」と強調。その上で「これこそ日本がテクノロジー含めて遅れている大きな原因の1つなのです。日本人は一生懸命努力して8割から9割10割とクオリティをあげていきます。でも世界のターンオーバーが速いので2年、3年したら次のイノベーションが出てくる。東南アジアの人たちだってそれを使うわけです。日本人が2年、3年努力して8割まで登ってきたところに次の5割がやってくるわけです。そして日本人の一生懸命した努力がほぼ報われないままどんどん技術の進歩は進んでいく。日本の人たちがやった方がいいことは、7割のクオリティで満足するメンタルです」と日本の抱える課題とそれに対しての対応策を指摘しました。
また、工藤勇一さんは、世界各国の意識調査のデータを示した上で、日本の当事者意識が低い理由を「明治維新以来の、一斉に同じことをさせる教育にある。心の教育ではなく問題を解決する方法を教えなくてはいけない。」と、日本の教育のあり方に対し警鐘を鳴らしました。人が当事者になることを阻む理由について、日本の教育がそもそも間違っていると指摘します。
「教育の二大目標は子どもの当事者性と主体性をどう育てるかにあります。主体性は生まれた時は全員が持っているものですが、初等教育のうちに奪われていっています。上からの教育ではなく支援をする、主体性を失わせない教育が必要なのです。当事者性は育てるものですが、育てる教育がなされていません。民主主義として問題を解決する方法を言語化して教える必要があります。」工藤勇一さんによれば、日本の教育の最大の間違いはここにあると言います。
最後に、チームで課題解決するための人の巻き込み方について、吉岡秀人は、「大切なのは僕の姿勢だと思うんです。ぶれないでひたすらやる。患者を裏切らないとか、患者の期待に応えるとか、逃げないとか。その姿勢がひな形になるし、基準になります。」 と、自身の経験を踏まえ、コメント。そして、自身が活動を続けてこられた理由について、吉岡秀人は「すべては自分の意志で自分のために始めたことだから、いいことも悪いことも全部自分のせいだから耐え続けられたのだと思います。」と振り返りました。一方、工藤勇一さんは「知れば知るほどやらなきゃいけないことが見つかるから」だと、きっぱりと述べました。
対談の最後には、まとめとして日本社会が目指すべきところは何かについて議論が行われました。吉岡秀人は、「今とは違った幸せのフレームを作った方が良いのではないでしょうか。GDPや経済的な豊かさとは別に、豊かな社会とは何かと考え直した方が良いのではないかと思っています。」とコメント。工藤勇一さんは、吉岡秀人への共感を示した上で、「対立を自分事に考えられる人間を育てるために、もっと多様性にあふれた社会を作る必要がある」と強調しました。
対談の後には、ジャパンハートの教育に関する活動と今後の課題について報告。まず、メディカルヒューマンリソース担当であり看護師の鈴木知美が、カンボジアにある病院「ジャパンハートこども医療センター」での活動を振り返りながら、現地医療者が当病院を離れていってしまう現状に対しての課題感に加え、「自分が看護師で専門職であるという強みを発揮し、社会に貢献できること、自己実現ができることに価値を置けるようになってほしい」と現地医療者への想いを語りました。
続いて、ジャパンハートがミャンマーで運営する養育施設「Dream Train(ドリームトレイン)」のプロジェクトディレクターである那須田玲菜より、養育施設でありながら質の高い教育機関にするための今後の取り組みの紹介と「不安定な情勢の中でも、子どもたちが夢を持ち、折れない心をどう育むかが課題です」と今後の展望を語りました。
また、「Dream Train」を卒業後、日本で働くHtun May Hla(トゥメラ)が登壇。「Dream Train」にいる子どもたちへの激励メッセージ、そして「Dream Train」を支援してくださる方々への感謝と意気込みを日本語で届けました。 これらのジャパンハートの報告に対し、工藤勇一さんからは、応援とともにともに学べる仕組みを一緒に作れないかと提言いただき、今後の活動への期待感が高まりました。
最後に、吉岡秀人は「誰かがやれば、必ず後に続く人が出てくる、そう信じている」と今後への期待を胸にシンポジウムを締めくくりました。
【(認定)特定非営利活動法人ジャパンハートについて】https://www.japanheart.org/
「医療の届かないところに医療を届ける」を理念に活動する、2004年に設立された日本発祥の国際医療NGO。海外では、ミャンマー・カンボジア・ラオスにおいて無償で子どもの診療・手術を実施し、その数は年間約3万4千件、累計30万件を超えます。日本国内では離島・へき地への医療者派遣、小児がんの子どもとその家族の外出を医療者がサポートする活動にも取り組んでいます。
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「誰かがやれば、必ず後に続く人が出てくる、そう信じている」
日本発祥の国際医療NGOである(認定)特定非営利活動法人ジャパンハート(東京都台東区 理事長:吉岡春菜 以下ジャパンハート)は、横浜創英中学・高等学校校長工藤勇一さんをお招きし、ジャパンハートファウンダー・小児外科医吉岡秀人とのシンポジウムを開催しました。
「孤独になること」そして「フレームを壊す」
まずはじめに、ジャパンハート副事務局長の高橋より、ジャパンハートの概要と、令和6年能登半島地震の被災地支援活動について報告。その後「イノベーションが生まれる当事者の作り方」をテーマに工藤勇一さんと吉岡秀人のトークセッションを実施しました。
トークセッション冒頭では教育、医療それぞれの道で"チェンジメーカー"となっていったプロセスについて、工藤勇一さんは「まずどうやったらこの学校を立て直せるかを考えました。人間関係としては、まずは敵を作らない、味方を作らずに孤独になることが大事です。孤独になってどういう順番でどんな風に人と信頼関係を作ればよいのかを考えていきました。」と述べた上で「目の前の子どもたちと目の前の学校をよりよくするために何が必要か考え、そのために自分の知識やスキルをためていった結果、今は価値観が違う教員たちがいても何も思わない。予想通り。詰将棋のようにやっているイメージです」と振り返りました。
主体性を失わせない教育を
吉岡秀人は、チェンジメイクするためには「既存の『フレーム』の形を変える、あるいは壊すことが大事」と強調。その上で「これこそ日本がテクノロジー含めて遅れている大きな原因の1つなのです。日本人は一生懸命努力して8割から9割10割とクオリティをあげていきます。でも世界のターンオーバーが速いので2年、3年したら次のイノベーションが出てくる。東南アジアの人たちだってそれを使うわけです。日本人が2年、3年努力して8割まで登ってきたところに次の5割がやってくるわけです。そして日本人の一生懸命した努力がほぼ報われないままどんどん技術の進歩は進んでいく。日本の人たちがやった方がいいことは、7割のクオリティで満足するメンタルです」と日本の抱える課題とそれに対しての対応策を指摘しました。
また、工藤勇一さんは、世界各国の意識調査のデータを示した上で、日本の当事者意識が低い理由を「明治維新以来の、一斉に同じことをさせる教育にある。心の教育ではなく問題を解決する方法を教えなくてはいけない。」と、日本の教育のあり方に対し警鐘を鳴らしました。人が当事者になることを阻む理由について、日本の教育がそもそも間違っていると指摘します。
「教育の二大目標は子どもの当事者性と主体性をどう育てるかにあります。主体性は生まれた時は全員が持っているものですが、初等教育のうちに奪われていっています。上からの教育ではなく支援をする、主体性を失わせない教育が必要なのです。当事者性は育てるものですが、育てる教育がなされていません。民主主義として問題を解決する方法を言語化して教える必要があります。」工藤勇一さんによれば、日本の教育の最大の間違いはここにあると言います。
最後に、チームで課題解決するための人の巻き込み方について、吉岡秀人は、「大切なのは僕の姿勢だと思うんです。ぶれないでひたすらやる。患者を裏切らないとか、患者の期待に応えるとか、逃げないとか。その姿勢がひな形になるし、基準になります。」 と、自身の経験を踏まえ、コメント。そして、自身が活動を続けてこられた理由について、吉岡秀人は「すべては自分の意志で自分のために始めたことだから、いいことも悪いことも全部自分のせいだから耐え続けられたのだと思います。」と振り返りました。一方、工藤勇一さんは「知れば知るほどやらなきゃいけないことが見つかるから」だと、きっぱりと述べました。
対談の最後には、まとめとして日本社会が目指すべきところは何かについて議論が行われました。吉岡秀人は、「今とは違った幸せのフレームを作った方が良いのではないでしょうか。GDPや経済的な豊かさとは別に、豊かな社会とは何かと考え直した方が良いのではないかと思っています。」とコメント。工藤勇一さんは、吉岡秀人への共感を示した上で、「対立を自分事に考えられる人間を育てるために、もっと多様性にあふれた社会を作る必要がある」と強調しました。
対談の後には、ジャパンハートの教育に関する活動と今後の課題について報告。まず、メディカルヒューマンリソース担当であり看護師の鈴木知美が、カンボジアにある病院「ジャパンハートこども医療センター」での活動を振り返りながら、現地医療者が当病院を離れていってしまう現状に対しての課題感に加え、「自分が看護師で専門職であるという強みを発揮し、社会に貢献できること、自己実現ができることに価値を置けるようになってほしい」と現地医療者への想いを語りました。
続いて、ジャパンハートがミャンマーで運営する養育施設「Dream Train(ドリームトレイン)」のプロジェクトディレクターである那須田玲菜より、養育施設でありながら質の高い教育機関にするための今後の取り組みの紹介と「不安定な情勢の中でも、子どもたちが夢を持ち、折れない心をどう育むかが課題です」と今後の展望を語りました。
また、「Dream Train」を卒業後、日本で働くHtun May Hla(トゥメラ)が登壇。「Dream Train」にいる子どもたちへの激励メッセージ、そして「Dream Train」を支援してくださる方々への感謝と意気込みを日本語で届けました。 これらのジャパンハートの報告に対し、工藤勇一さんからは、応援とともにともに学べる仕組みを一緒に作れないかと提言いただき、今後の活動への期待感が高まりました。
最後に、吉岡秀人は「誰かがやれば、必ず後に続く人が出てくる、そう信じている」と今後への期待を胸にシンポジウムを締めくくりました。
【(認定)特定非営利活動法人ジャパンハートについて】https://www.japanheart.org/
「医療の届かないところに医療を届ける」を理念に活動する、2004年に設立された日本発祥の国際医療NGO。海外では、ミャンマー・カンボジア・ラオスにおいて無償で子どもの診療・手術を実施し、その数は年間約3万4千件、累計30万件を超えます。日本国内では離島・へき地への医療者派遣、小児がんの子どもとその家族の外出を医療者がサポートする活動にも取り組んでいます。
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(2024/03/25 13:00)
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