【岡山大学】唾液を用いて下咽頭がんを早期に発見可能! ~唾液中DNAメチル化評価による早期下咽頭がんの低侵襲で簡便なスクリーニング方法~
国立大学法人岡山大学
岡山大学と広島市民病院の共同研究成果プレスリリースです
2024(令和6)年 3月 31日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
下咽頭がんは頭頚部がんの中でも高頻度かつ予後不良とされていますが、簡便な早期の診断手法がないことが課題となっています。
唾液を用いてDNAメチル化解析することで、早期の下咽頭がん患者さんの唾液中DNAにおいてDeleted in Colorectal Cancer(DCC)遺伝子の異常メチル化が高頻度に見られることが確認されました。
唾液は簡単に採取可能であり、この技術を応用することで咽頭がんハイリスクの患者さんの早期診断に有用なツールとなることが期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の岡山大学病院消化器内科の平井亮佑医員(岡山大学大学院医歯薬総合研究科博士課程3年在学中)、衣笠秀明助教(研究責任者)、広島市立広島市民病院内科 中川昌浩部長、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)消化器・肝臓内科学の大塚基之教授らの研究グループは、早期下咽頭がん患者さんの唾液における(DCC)遺伝子のDNAメチル化が、がんのない方の唾液と比較して高頻度で発生しており、この手法を用いることで高い精度で下咽頭がんを診断可能であることを明らかにしました。
この研究成果は、2024年3月27日0時(GMT)に英国Cancer Research UKとSpringer Natureによる学術雑誌「British Journal of Cancer」のオンライン版で公開されました。
これまで上部消化管内視鏡以外の早期診断の手法が存在しなかった口腔内、特に咽頭領域において、唾液という簡便かつ非侵襲的に採取可能な検体を用いることでリスクとなる患者さんを拾い上げることが可能になれば、内視鏡での局所切除による根治治療へとつながる可能性を秘めています。
本研究成果の技術を製品化・がん検診に応用し、内視鏡技術と組み合わせることで、全く新しい内視鏡がん診療を構築することが期待されます。
図1. 本研究のフローチャート
4つの候補遺伝子について、まず岡山大学病院にて内視鏡切除されたがん組織と正常粘膜部分のメチル化量を比較した。組織でメチル化によるがん識別が可能であった3遺伝子について、岡山大学病院で治療された61人の早期下咽頭がん患者さんと、51人のがんのない患者さんの唾液中のメチル化量を比較した。最もメチル化量に差を認めたDCC遺伝子について、広島市民病院で治療された早期下咽頭がん患者さんの唾液中のメチル化量で検証を行った。
図2. 岡山大学病院にて治療された患者さんの唾液(探索群)による各遺伝子のメチル化量評価のがん診断性能の比較
DCC遺伝子で感度82.8%、特異度90.2%と他遺伝子と比較し極めて高い精度で診断可能であった。
図3. 広島市民病院にて治療された患者さんの唾液(検証群)によるDCC遺伝子メチル化評価のがん診断性能
26例中22例で設定したカットオフ値を上回るメチル化が検出された。
◆平井亮佑医員と衣笠秀明助教からのひとこと
<平井亮佑医員>
体液の中に含まれるがんの細胞を検出し、診断や治療後のモニタリングに活用する技術は“リキッドバイオプシー”と呼ばれ、低侵襲ながん検出手法として注目されています。唾液は極めて容易に、多量に、かつ非侵襲的に採取可能であるため、実用化されればこれまで有用な血液腫瘍マーカーの存在しなかった咽頭領域において、必ず患者さんのお役に立てる技術であると確信しています。
<衣笠秀明助教>
岡山大学病院消化器内科では、内視鏡による咽頭がんの早期診断と治療を積極的に実施していますが、咽頭観察は苦痛を伴うため麻酔が必要であり、胃カメラを受けるすべての患者さんに咽頭の詳細観察を行うことは困難です。今回私たちが検証した手法を用いて、内視鏡による咽頭精密検査が必要なハイリスクの患者さんを事前に判定し、内視鏡による早期発見治療につなげることで、患者さんの生活の質の改善に大きく寄与する技術であると考えています。臨床応用に向け、さらに研究を進めてまいります。
◆論文情報
論 文 名:Methylation analysis of DCC gene in saliva samples is an efficient method for non-invasive detection of superficial hypopharyngeal cancer
掲 載 紙:British Journal of Cancer
著 者:Ryosuke Hirai, Hideaki Kinugasa*, Shumpei Yamamoto, Soichiro Ako, Koichiro Tsutsumi, Makoto Abe, Koji Miyahara, Masahiro Nakagawa, and Motoyuki Otsuka
*:責任著者
D O I:10.1038/s41416-024-02654-2
U R L:https://www.nature.com/articles/s41416-024-02654-2
◆研究資金
本研究は、内視鏡医学研究振興財団(JFE)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
唾液を用いて下咽頭がんを早期に発見可能!~唾液中DNAメチル化評価による早期下咽頭がんの低侵襲で簡便なスクリーニング方法~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240327-0.pdf
◆参 考
・岡山大学病院
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
・岡山大学病院 消化器内科
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index114.html
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
https://www.mdps.okayama-u.ac.jp/
◆本件お問い合わせ先
岡山大学病院 消化器内科 助教 衣笠秀明
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:086-235-7219
FAX:086-225-5991
http://www.okayama-gastro.com/
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年4月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002079.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
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岡山大学と広島市民病院の共同研究成果プレスリリースです
2024(令和6)年 3月 31日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
下咽頭がんは頭頚部がんの中でも高頻度かつ予後不良とされていますが、簡便な早期の診断手法がないことが課題となっています。
唾液を用いてDNAメチル化解析することで、早期の下咽頭がん患者さんの唾液中DNAにおいてDeleted in Colorectal Cancer(DCC)遺伝子の異常メチル化が高頻度に見られることが確認されました。
唾液は簡単に採取可能であり、この技術を応用することで咽頭がんハイリスクの患者さんの早期診断に有用なツールとなることが期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の岡山大学病院消化器内科の平井亮佑医員(岡山大学大学院医歯薬総合研究科博士課程3年在学中)、衣笠秀明助教(研究責任者)、広島市立広島市民病院内科 中川昌浩部長、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)消化器・肝臓内科学の大塚基之教授らの研究グループは、早期下咽頭がん患者さんの唾液における(DCC)遺伝子のDNAメチル化が、がんのない方の唾液と比較して高頻度で発生しており、この手法を用いることで高い精度で下咽頭がんを診断可能であることを明らかにしました。
この研究成果は、2024年3月27日0時(GMT)に英国Cancer Research UKとSpringer Natureによる学術雑誌「British Journal of Cancer」のオンライン版で公開されました。
これまで上部消化管内視鏡以外の早期診断の手法が存在しなかった口腔内、特に咽頭領域において、唾液という簡便かつ非侵襲的に採取可能な検体を用いることでリスクとなる患者さんを拾い上げることが可能になれば、内視鏡での局所切除による根治治療へとつながる可能性を秘めています。
本研究成果の技術を製品化・がん検診に応用し、内視鏡技術と組み合わせることで、全く新しい内視鏡がん診療を構築することが期待されます。
図1. 本研究のフローチャート
4つの候補遺伝子について、まず岡山大学病院にて内視鏡切除されたがん組織と正常粘膜部分のメチル化量を比較した。組織でメチル化によるがん識別が可能であった3遺伝子について、岡山大学病院で治療された61人の早期下咽頭がん患者さんと、51人のがんのない患者さんの唾液中のメチル化量を比較した。最もメチル化量に差を認めたDCC遺伝子について、広島市民病院で治療された早期下咽頭がん患者さんの唾液中のメチル化量で検証を行った。
図2. 岡山大学病院にて治療された患者さんの唾液(探索群)による各遺伝子のメチル化量評価のがん診断性能の比較
DCC遺伝子で感度82.8%、特異度90.2%と他遺伝子と比較し極めて高い精度で診断可能であった。
図3. 広島市民病院にて治療された患者さんの唾液(検証群)によるDCC遺伝子メチル化評価のがん診断性能
26例中22例で設定したカットオフ値を上回るメチル化が検出された。
◆平井亮佑医員と衣笠秀明助教からのひとこと
<平井亮佑医員>
体液の中に含まれるがんの細胞を検出し、診断や治療後のモニタリングに活用する技術は“リキッドバイオプシー”と呼ばれ、低侵襲ながん検出手法として注目されています。唾液は極めて容易に、多量に、かつ非侵襲的に採取可能であるため、実用化されればこれまで有用な血液腫瘍マーカーの存在しなかった咽頭領域において、必ず患者さんのお役に立てる技術であると確信しています。
<衣笠秀明助教>
岡山大学病院消化器内科では、内視鏡による咽頭がんの早期診断と治療を積極的に実施していますが、咽頭観察は苦痛を伴うため麻酔が必要であり、胃カメラを受けるすべての患者さんに咽頭の詳細観察を行うことは困難です。今回私たちが検証した手法を用いて、内視鏡による咽頭精密検査が必要なハイリスクの患者さんを事前に判定し、内視鏡による早期発見治療につなげることで、患者さんの生活の質の改善に大きく寄与する技術であると考えています。臨床応用に向け、さらに研究を進めてまいります。
◆論文情報
論 文 名:Methylation analysis of DCC gene in saliva samples is an efficient method for non-invasive detection of superficial hypopharyngeal cancer
掲 載 紙:British Journal of Cancer
著 者:Ryosuke Hirai, Hideaki Kinugasa*, Shumpei Yamamoto, Soichiro Ako, Koichiro Tsutsumi, Makoto Abe, Koji Miyahara, Masahiro Nakagawa, and Motoyuki Otsuka
*:責任著者
D O I:10.1038/s41416-024-02654-2
U R L:https://www.nature.com/articles/s41416-024-02654-2
◆研究資金
本研究は、内視鏡医学研究振興財団(JFE)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
唾液を用いて下咽頭がんを早期に発見可能!~唾液中DNAメチル化評価による早期下咽頭がんの低侵襲で簡便なスクリーニング方法~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240327-0.pdf
◆参 考
・岡山大学病院
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
・岡山大学病院 消化器内科
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index114.html
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
https://www.mdps.okayama-u.ac.jp/
◆本件お問い合わせ先
岡山大学病院 消化器内科 助教 衣笠秀明
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:086-235-7219
FAX:086-225-5991
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<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
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産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年4月期共創活動パートナー募集中:
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