Dr.純子のメディカルサロン

年末年始の孤独ストレス

 今年の年末年始は9連休という方も多いようです。特別なイベントがない人にとって仕事がない長い休みは、どうやって過ごそうかと悩ましいのではないでしょうか。

(文 海原純子)

 ◇あなたに似た人はいませんか?

 30代の派遣社員として働くAさんはボーナスはなく物価高でお正月気分になれないのですが、同じ年齢の正社員の友人が年末に海外旅行に行くことを聞いて面白くない気分です。

 40代独身一人暮らしのBさんは、クリスマスの時期に同僚がカップルでレストランの豪華ディナーをSNSにアップしているのを見てちょっと嫌な気分になり、正月休みが憂鬱だと言います。

 30代後半のCさんは、正月休みは実家に帰らず都内で過ごすそうです。地方の実家に帰ると、親戚が集まり、「まだ結婚しないのか?」と言われるのが苦痛だから、という理由です。今年は長い休みなのでなぜ「帰らないのか?」と聞かれるのですが、毎年帰省するたびに不快な思いをするので今回はひとりで過ごす予定ですが、なんか孤独だなあ、ということです。

 普段は仕事をして仲間とのコミュニケーションもあり充実していても、年末年始は家族で過ごす人や恋人と過ごす人が多いため、一人で過ごすことで孤独感を感じるものです。

 一方、仕事や人間関係でおもしろくない環境だったり、経済的に楽ではない状況だったりで年末年始を一人で過ごすような場合は、さらに気持ちが落ち込む可能性があります。周りがお祝いムードで盛り上がっているようなときは自分だけがその中に入れないような疎外感を感じてしまうものです。せっかくの休みを孤独ストレスで台無しにしないために対策を考えます。

 1. SNS断食のすすめ

 正月休みにはSNSのキラキラ投稿が多くなることが予想されます。海外旅行や豪華なおせち、高価なワインやシャンパンの写真を見ると、そうしたくてもできない場合は面白くない気分になることもあるでしょう。「しばらくSNSを見ない」という選択もよいのではと思います。自分が満たされている場合は、人が楽しんでいるのを見て自分も楽しいと思えますが、そんな気持ちになれないという方は、ストレス要因から遠ざかるということをお勧めします。

 2. 垂れ流しTVをやめる

 「何もすることがないから」という理由でテレビをつけっぱなしにしておくのもやめることをお勧めします。見る番組を決めておき、それ以外はつけないようにすると時間を有効に使えると思います。何となくつけっぱなしにしたテレビを見ながら何かをつまんで過ごすと時間の浪費につながり、あとで時間の無駄をしたと感じたりするからです。

いつもは読めない本を読むことも孤独感を防ぐ

いつもは読めない本を読むことも孤独感を防ぐ

 3. 年末年始用の本を用意する

 ネットサーフィンやテレビの代わりに読書をしてはいかがでしょう。普段は読書の時間がない方も、この時期を利用していつもは読めない本を読むことも孤独感を防ぐ時間になるはずです。実用書や自分の仕事と関係の深い本はやめて小説や詩集などで日常生活から離れるのもよいのではと思います。図書館は29日で終了のところが多いのでそれまでに読みたい本を選んでおいたり本屋さんに行き準備しておいたりするのもよいでしょう。

 私は小説は推理小説で東野圭吾さんの新作「架空犯」、何度読んでも気分がほのぼのする桜木紫乃さんの「俺と師匠とブルーボーイとストリッパー」、今年亡くなった高橋秀実さんの「ことばの番人」、今年亡くなった小澤征爾さんと武満徹さんの対談「音楽」、オー・ヘンリーの「ニューヨーク小説集」、やはり今年亡くなった谷川俊太郎さんの詩集「すてきなひとりぼっち」を用意しました。まだもう少し年末までにそろえようかなと思っています。本を用意しておくと楽しみが増えます。趣味の本などもいいかと思います。

 4. 生活リズムをキープ

 休みを家で過ごそうとしている方は、特に夜更かしと朝寝坊で生活リズムが乱れることが体調を崩す大きな要因となります。

 食事時間も夜遅くなり、生活リズムが乱れ、自律神経の不調も起こりやすくなります。自律神経のバランスが乱れると時差ぼけ状態になり、胃腸の不調なども引き起こされて気分も低下します。大みそかや元旦は仕方がありませんが、できれば普段と2時間以上生活リズムを遅らせないことが大事です。夜遅くなっても起床時間を一定にしておくことが体調を守るために重要です。

体を動かすことは気分をうつから守る大事なポイント

体を動かすことは気分をうつから守る大事なポイント

 5. 1日1回は戸外で身体を動かす

 歩いたりストレッチしたりして体を動かすことは、気分をうつから守る大事なポイントです。速足で歩くことが気分と関わるという研究が進められていて歩行速度が速いほどポジティブな感情が高まり、ストレス耐性が強化される傾向があると考えられています。寒い時期ですが、無理のない範囲で水分の補給をしながら、いつもの速度の歩行を少しした後、ちょっと速足で歩く割合を増やしみてください。15~20分ほど無心で歩くと、歩き終わった後、気分がすっきりしてくるはずです。

 一人で過ごす長い年末年初の休みを気分良く楽しむには、孤独を孤立にせず自分で選んだ「ポジティブな孤独」に変えることが大事と言えるでしょう。そのために今から準備してはいかがでしょう。(了)

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