【岡山大学】SGLT2阻害薬の新しい腎保護作用メカニズムを発見
国立大学法人岡山大学
2024(令和6)年 3月 31日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
細胞内の小胞体タンパク質であるGRP78が、糖尿病関連腎臓病では近位尿細管細胞から尿中に分泌され周辺の尿細管細胞に炎症を拡大することが分かり、カナグリフロジンにより抑制されました。
カナグリフロジンは糖尿病関連腎臓病の近位尿細管細胞の上皮間葉転換と間質線維化を抑制しました。そのメカニズムにGRP78が関わる可能性が示されました。
カナグリフロジンは近位尿細管細胞の糖再吸収を抑制します。細胞内糖濃度の低下により小胞体のGRP78が増加し、細胞内カルシウム濃度の調整に重要なSERCAの働きを活性化しました。また小胞体機能を向上させ、糖尿病がない人の腎臓病であっても細胞保護作用を示すことが分かりました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の岡山大学病院 腎臓・糖尿病・内分泌内科の中司敦子講師、和田淳教授はNPO法人日本腎臓病協会Kidney Research Initiative-Japan(KRI-J)および田辺三菱製薬株式会社との共同研究において、SGLT2阻害薬であるカナグリフロジンが糖尿病関連腎臓病の進行を抑制する新しい作用メカニズムを発見しました。
カナグリフロジンはGPR78のタンパク量や存在する場所を変化させ、糖尿病における近位尿細管細胞の形質転換や間質線維化を抑制し、また糖尿病のない場合でも、小胞体機能を向上させ、細胞質の過剰なCa2+を小胞体に戻すポンプであるSERCAの働きを良くすることにより、細胞を保護しました。
この成果は、2024年2月23日に米国糖尿病学会誌「Diabetes」のResearch Articleとして公開されました。
本情報は、2024年3月27日に岡山大学から公開されました。
◆中司敦子講師からのひとこと
糖尿病関連腎臓病の進行に関わる要素は複数存在し、経過も様々です。SGLT2阻害薬は、血糖降下作用以外に腎臓・心臓の機能低下を予防する作用も有することが近年明らかになり診療で広く使用されるようになりました。しかし「どのようなメカニズムで効くのか」については、まだ解明されていない部分が残っています。
今回はカナグリフロジンの腎臓を守る働きについて新たなメカニズムの一つを明らかにしました。今後も臨床医学や患者さんに還元できるような、基礎研究を続けていきたいと思います。研究にご協力くださいました関係者の皆様に深謝申し上げます。
◆論文情報
論 文 名:GRP78 Contributes to the Beneficial Effects of SGLT2 Inhibitors on Proximal Tubular Cells in DKD
(糖尿病関連腎臓病のSGLT2阻害薬の有効性は近位尿細管細胞のGRP78を介している)
掲 載 紙:Diabetes
著 者:Atsuko Nakatsuka, Satoshi Yamaguchi, Jun Wada
D O I:10.2337/db23-0581
U R L:https://diabetesjournals.org/diabetes/article-abstract/doi/10.2337/db23-0581/154287/GRP78-contributes-to-the-beneficial-effects-of?redirectedFrom=fulltext
◆研究資金
本研究は、NPO法人日本腎臓病協会・田辺三菱製薬による共同事業、また独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤研究C・23K07673,研究代表:中司敦子)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
SGLT2阻害薬の新しい腎保護作用メカニズムを発見
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240327-6.pdf
◆参 考
・岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(医) 腎・免疫・内分泌代謝内科学分野
https://daisan.med.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学病院
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 腎臓・糖尿病・内分泌内科 講師 中務敦子
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:086-235-7235
FAX: 086-222-5214
https://daisan.med.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年4月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002079.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html
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2024(令和6)年 3月 31日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
細胞内の小胞体タンパク質であるGRP78が、糖尿病関連腎臓病では近位尿細管細胞から尿中に分泌され周辺の尿細管細胞に炎症を拡大することが分かり、カナグリフロジンにより抑制されました。
カナグリフロジンは糖尿病関連腎臓病の近位尿細管細胞の上皮間葉転換と間質線維化を抑制しました。そのメカニズムにGRP78が関わる可能性が示されました。
カナグリフロジンは近位尿細管細胞の糖再吸収を抑制します。細胞内糖濃度の低下により小胞体のGRP78が増加し、細胞内カルシウム濃度の調整に重要なSERCAの働きを活性化しました。また小胞体機能を向上させ、糖尿病がない人の腎臓病であっても細胞保護作用を示すことが分かりました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の岡山大学病院 腎臓・糖尿病・内分泌内科の中司敦子講師、和田淳教授はNPO法人日本腎臓病協会Kidney Research Initiative-Japan(KRI-J)および田辺三菱製薬株式会社との共同研究において、SGLT2阻害薬であるカナグリフロジンが糖尿病関連腎臓病の進行を抑制する新しい作用メカニズムを発見しました。
カナグリフロジンはGPR78のタンパク量や存在する場所を変化させ、糖尿病における近位尿細管細胞の形質転換や間質線維化を抑制し、また糖尿病のない場合でも、小胞体機能を向上させ、細胞質の過剰なCa2+を小胞体に戻すポンプであるSERCAの働きを良くすることにより、細胞を保護しました。
この成果は、2024年2月23日に米国糖尿病学会誌「Diabetes」のResearch Articleとして公開されました。
本情報は、2024年3月27日に岡山大学から公開されました。
◆中司敦子講師からのひとこと
糖尿病関連腎臓病の進行に関わる要素は複数存在し、経過も様々です。SGLT2阻害薬は、血糖降下作用以外に腎臓・心臓の機能低下を予防する作用も有することが近年明らかになり診療で広く使用されるようになりました。しかし「どのようなメカニズムで効くのか」については、まだ解明されていない部分が残っています。
今回はカナグリフロジンの腎臓を守る働きについて新たなメカニズムの一つを明らかにしました。今後も臨床医学や患者さんに還元できるような、基礎研究を続けていきたいと思います。研究にご協力くださいました関係者の皆様に深謝申し上げます。
◆論文情報
論 文 名:GRP78 Contributes to the Beneficial Effects of SGLT2 Inhibitors on Proximal Tubular Cells in DKD
(糖尿病関連腎臓病のSGLT2阻害薬の有効性は近位尿細管細胞のGRP78を介している)
掲 載 紙:Diabetes
著 者:Atsuko Nakatsuka, Satoshi Yamaguchi, Jun Wada
D O I:10.2337/db23-0581
U R L:https://diabetesjournals.org/diabetes/article-abstract/doi/10.2337/db23-0581/154287/GRP78-contributes-to-the-beneficial-effects-of?redirectedFrom=fulltext
◆研究資金
本研究は、NPO法人日本腎臓病協会・田辺三菱製薬による共同事業、また独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤研究C・23K07673,研究代表:中司敦子)の支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
SGLT2阻害薬の新しい腎保護作用メカニズムを発見
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240327-6.pdf
◆参 考
・岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(医) 腎・免疫・内分泌代謝内科学分野
https://daisan.med.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学病院
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 腎臓・糖尿病・内分泌内科 講師 中務敦子
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:086-235-7235
FAX: 086-222-5214
https://daisan.med.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年4月期共創活動パートナー募集中:
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
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(2024/03/31 07:39)
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