一般社団法人JISART
卵子・精子の提供による生殖医療をお考えの皆さまへ~JISART15年の取り組みから~
一般社団法人JISART(日本生殖補助医療標準化機関、ジスアート、本部:大阪府大阪市、代表者:理事長 絹谷正之、以下「JISART」)は、生殖補助医療の選択肢の1つとして昨今注目度の高まる「卵子・精子提供による体外受精」について、2024年3月30日に無料オンラインセミナーを開催いたしましたこと、また、開催後多くのご要望を受け、セミナーの録画記録をアーカイブ配信することを決定いたしましたことをお知らせいたします。
セミナーでは、JISARTがこれまで団体として15年にわたり第三者の卵子・精子提供による体外受精に取り組んできた見地から、その手法や課題等についてお伝えしました。
冒頭には絹谷正之JISART理事長の挨拶に加え、生殖医療領域に積極的に取り組む野田聖子代議士からのビデオメッセージも寄せられ、123名の参加者からは質疑応答の際に数多くの質問が寄せられるなど、卵子・精子提供による体外受精及びJISARTの取り組みについての高い注目度が伺えました。
厚生労働省の発表によると、日本国内において体外受精により誕生した出生児は、その出生児数も年間出生数に占める割合も過去最高を更新し続けており、2021年にその数は6万9,797人、割合も6.8%に及びました。これは実に11-12人に1人は体外受精で生まれたことになる計算であり、かつては珍しかった体外受精も、日本社会にとって一般的と呼べるものになりつつあります。2022年4月の生殖補助医療の公的医療保険適用化も、その流れを大きく加速させました。
それでも、不妊治療はすべてのカップルに妊娠という結果をもたらすことが可能なわけではありません。生殖とは、卵子・精子の双方の要素で成り立つものですが、様々な理由から生殖補助医療に充分な卵子・精子を確保できないカップルも数多く存在しており、こういったカップルでも体外受精を行うことができる医学的な手段の1つが、第三者による卵子・精子の提供です。卵子・精子の保存や輸送技術の向上により、現代では第三者に提供を受けた卵子・精子であっても、本人のそれらと医学的には遜色ない水準での体外受精が可能となっていることが知られています。
ただし、第三者の卵子・精子の提供を受けて体外受精を行い、出産することは、技術的には可能であっても、親子や家族、提供者との関係、そして生まれてきた子どもの人権など、複合的かつ多岐にわたる社会的課題を孕んでいます。技術的にはお子さんを願うカップルの選択肢の1つとなり得る一方で、海外では知り合いでさえない第三者の卵子・精子を購入することのできるサービスが存在していたり、SNS等の発達によって医療機関を介さずに精子提供が行われる事例が報道に取り上げられる等、社会環境の変化は体外受精や第三者の卵子・精子提供を取り巻く領域にも起こっています。
JISART(ジスアート)は、その設立より第三者の卵子・精子提供による体外受精に着目し、15年にわたって厳格なルールとその慎重な運用のもとで取り組んでまいりました。今回のセミナーは、世界で最も深刻な少子高齢化をはじめ、社会が大きく変化している今だからこそ、私たちが取り組んできた経験と、そこから得られた知見を社会のみなさま、特に第三者の卵子・精子提供による体外受精をご検討されているご夫婦へとお届けするべきだと考え、実施したものとなります。
第三者の卵子・精子提供による体外受精が抱える問題が簡単でないからこそ、この問題の社会的な議論が深まる一助になれば幸いです。
【セミナーの様子】
1. JISARTのご紹介
絹谷正之JISART理事長から、一般社団法人JISARTについて、また今回の卵子・精子提供による生殖医療に関するセミナー開催に至った経緯についてご挨拶・ご説明しました。
2. ビデオメッセージ「本日のオンラインセミナーに寄せて」
生殖補助医療の在り方を考える議員連盟の会長でもある自民党衆議院議員野田聖子氏より、国内における生殖医療の現在と展望について、また本セミナーの主題でもある「卵子・精子提供による生殖補助医療」について、当事者である野田議員ご本人のご経験も交えながら、議論や法整備の必要性についてビデオメッセージをいただきました。
3. JISARTの第三者の精子・卵子による生殖補助医療について
JISARTの実施する第三者卵子・精子による生殖補助医療について、廣川理恵JISART事務局長より説明しました。ガイドライン作成の経緯とその理念、治療を受けられる人の条件と実施までの流れや所用期間、申請からカウンセリング、倫理委員会審査、治療費用の概算など、一般の方も含め対外的にここまで詳細をご説明する機会は、JISARTにとっても初めてとなりました。
4. JISARTでの治療を希望される方に考えていただきたいこと
第三者卵子・精子による生殖補助医療を検討するご夫婦に向け、主にカウンセリングを担当する平山 史朗フォローアップ部会相談部門長より、JISART以外の状況も踏まえながら、事前に検討・熟慮しておくべきこと、JISARTにおけるカウンセリングのスタンス等について説明しました。
5. JISARTによる治療で誕生した提供出生児とご家族の現状
実際に第三者卵子・精子による生殖補助医療でお子さんを授かったご夫婦や、誕生したお子さんのその後について、またお子さんへの告知や予後調査の仕組みについて、JISARTの倫理委員でもある上野桂子フォローアップ部会部会長より説明しました。
6. 質疑応答
セミナーの最後に設けられた質疑応答の時間では、古井憲司JISART非配偶者間
生殖医療啓発事業PT委員長の進行のもと、オンラインセミナーのその場に寄せられたご質問への回答を行いました。
当初は15分間を予定していましたが、30問を超える質問が寄せられ、時間を超過して回答を行うなど、聴講者の関心の高さが窺える結果となりました。
【セミナーアーカイブ動画】
開催後多くのご要望を受け、セミナーのアーカイブ動画をYouTubeにて公開しております。以下のリンクよりご覧ください。
また、こちらの動画には質疑応答部分は含まれておりません。質疑応答については正式な回答として、後日JISARTウェブサイトにて公開いたします。
【JISARTについて】
JISART(日本生殖補助医療標準化機関)は、不妊治療を専門とするクリニックによって結成された組織です。その活動の中核は、日本の生殖医療(不妊治療)の品質を守るために、国内トップクラスの実績を誇る不妊治療のクリニックが集い、厳しい実施規定に基づき相互に審査を行うことで、医療品質の優れたクリニックを認定することにあります。
生殖医療の特徴の1つとして、専門知識のない人々がその品質を見極めにくいことがあります。特に体外受精の分野は、肉眼では見えない「卵子や精子などの新しい生命のもと」を取り扱うがゆえに、個人がその医療品質を見極めにくい反面、とても繊細で熟練した高い技術が求められます。そういった経緯で、医療機関どうしで「治療の質的充実、安全性の確保、高い有効性」を磨きあうことを目的として、2003年にJISARTは誕生しました。
設立から20年を経て、現在では全国30施設が加盟する団体へと成長しました。加盟施設はいずれも世界有数の体外受精の実績を誇り、その成績はすべて公開されています。これからも私たちJISARTは、お子さんを願うすべてのカップルと、そこに生まれくる1人でも多くの「未来」のために、活動に邁進してまいります。
JISART概要
名 称: 一般社団法人JISART(日本生殖補助医療標準化機関)
設 立: 2003年3月
代表者: 理事長 絹谷 正之
本 部: 大阪府大阪市北区曽根崎新地二丁目6番23号 MF桜橋ビル5F
事業内容: 生殖補助医療の実施規定・基準の作成と運用、及び学術調査研究事業
ウェブサイト:
http://jisart.jp/
本プレスリリースに関するお問い合わせ先
■JISART広報事務局(女性からだ情報局内)
担当:菅原
Mail:info@josei-karada.net
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(2024/04/03 13:00)
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