ユーグレナ社、新たな医薬部外品・化粧品原料として「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」を開発
株式会社ユーグレナ
パラミロンが肌免疫を介した保湿因子、泡の感触改善、皮脂吸着の増強など多機能にはたらくことを確認しました
株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充)は、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」)を用いた医薬部外品※1・化粧品原料として「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」(図1)を独自に開発し、新たに規格化※2したことをお知らせします。 「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」は医薬部外品原料規格※3「ユーグレナ多糖体末」に適合しているため、医薬部外品にも配合可能な原料です。
※1 医薬部外品:薬機法によって定められた医薬品と化粧品の中間に位置づけられる製品のこと
※2 原料としての品質基準を定めること
※3 医薬部外品原料規格:厚生労働省によって定められた医薬部外品の原料に関する規格
図1:パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)
図2:パラミロンの電子顕微鏡像 撮影 青山学院大学 福岡伸一教授
パラミロンは、ユーグレナが細胞内貯蔵物質として生成する希少成分で、きのこなどに含まれるβ-グルカンと呼ばれる多糖類であり、水にも油にも溶解しない平均2-3μmほどの微細で均一な粒子です(図2)。
当社はこれまでの研究を通じて、パラミロンが免疫調整機能における主成分であることを報告※4してきました。今回、その肌への影響について改めて確認するとともに、洗顔料やクレンジング剤として用いた際の便益についても検討しました。
※4 2022年3月23日のニュースリリース https://www.euglena.jp/news/20220323-3/
■研究の内容と結果
1.パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)が肌免疫を介して保湿因子を増強する可能性を確認しました
皮膚は外界と生体組織を隔てている人体最大の臓器であり、病原体のみならず花粉・ちり・ほこりといった微粒子汚れやアレルギー物質をはじめとしたさまざまな異物にさらされています。異物の侵入が起こると、結果的に肌荒れなどの肌トラブルにつながるため、その防御能力を落とさないようにすることが重要になります。
ヒトの身体は、侵入してきた病原体等をいち早く感知し、それを排除する自然免疫と呼ばれる仕組みを備えており、マクロファージなどの免疫細胞がその役割を担っています。免疫細胞は身体のさまざまな組織に分布していますが、皮膚にもランゲルハンス細胞と呼ばれるマクロファージ様の細胞をはじめとした免疫細胞が存在しており、異物から肌を守っています。また、マクロファージは末梢組織に侵入した病原体等を呑み込むことで活性化し、ホルモン様のタンパク質であるサイトカインを出して、さらに他の細胞を活性化することが知られています。
本研究では、ヒト由来の免疫細胞であるTHP-1マクロファージにパラミロン原末を添加して培養したあと、その培養上清を皮膚線維芽細胞に添加して、ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現に与える影響を調べました。
その結果、THP-1マクロファージにパラミロン原末を添加して培養した上清は、皮膚線維芽細胞において、皮膚のハリや弾力の維持に必要な保湿成分の1つであるヒアルロン酸の合成酵素(HAS2)にかかる遺伝子発現を有意に高めました(図3)。パラミロン原末が免疫細胞を活性化したときに細胞から分泌された成分が、皮膚線維芽細胞にはたらきかけることで、皮膚の保湿成分であるヒアルロン酸を合成する力が強化されたと考えられます。以上のことから、パラミロン原末によって、肌の免疫力を介して皮膚のハリや弾力が良好に維持される可能性が示されました。
図3:活性化した免疫細胞の培養上清による皮膚のヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現量の変化 ***p<0.001 t検定 vs.添加なし
2.パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)がLPS※5により惹起した免疫細胞の炎症を抑制することが示唆されました
免疫細胞の一種であるマクロファージにおいて、LPSで惹起された炎症反応が、パラミロンによって、抑制されるかどうか、NO※6産生量を指標として確認しました。その結果、パラミロン原末はLPSによって惹起されたNO産生を濃度依存的に有意に低下させました(図4)。以上のことから、パラミロンによって、炎症が抑制される可能性が示されました。
※5 LPS(リポポリサッカライド)は自然の中の土や木、植物や食品、空気中に存在している、グラム陰性細菌の細胞壁の一番外側に存在する成分で、免疫系を刺激し、体内で自然免疫を活性化する働きが報告されています
※6 一酸化窒素のこと。マクロファージなどの免疫細胞から産生され、生体防御因子として作用する一方、炎症時に多量に産生された場合には炎症を悪化させる
図4:マクロファージのNO産生量の変化 ***p<0.001,**p<0.01 t検定(ボンフェローニ補正) vs. パラミロン 0 μg/mL
3.パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)を洗顔料に配合することで、きめ細やかで弾力のある泡立ちや皮脂の吸着を助けます
パラミロン原末を配合した洗顔料と配合していない洗顔料を用意し、それぞれを同じ方法で2分間泡立てました。その結果、パラミロン原末を配合した洗顔料の泡の方がよりきめ細やかな泡立ちとなりました(図5)。
図5:泡立ち後の洗顔料の泡の顕微鏡写真
また、パラミロン原末を配合していない洗顔料の泡では、スプーンをのせると、泡の中に沈んでしまいますが、パラミロンを配合した洗顔料では、スプーンをのせても泡の中にスプーンが沈まず、泡が弾力を持っていることが分かりました。実際に、泡の弾力の指標としてそれぞれの泡の貯蔵弾性率※7を調査したところ、パラミロン原末を配合した洗顔料の泡において、パラミロン原末を配合していない洗顔料の泡と比較して、泡の貯蔵弾性率が高くなっていました(図6)。これらの結果は、洗顔料へのパラミロンの配合によって、より弾力ある泡立ちが得られることを示しています。
一般的にきめ細かい泡は毛穴の汚れの除去に効果的であり、弾力ある泡は洗顔時の肌への摩擦を低減する効果があることが知られています。パラミロン原末を洗顔料に配合することでくすみやシワの原因となる洗顔時の摩擦の軽減と、汚れの効果的な除去に貢献できると考えられます。
さらに、パラミロン原末と水を混合した液で顔を洗った後と、水で顔を洗った後と、それぞれあぶらとり紙を用いて、皮膚に残った皮脂量を確認したところ、パラミロン原末と水を混合した液で顔を洗った時のほうが、あぶら取り紙に吸われる皮脂量が減少していることを確認しました。以上のことから、パラミロン原末が肌の皮脂を吸着する可能性が示され、洗顔料やクレンジング剤などでの活用可能性が示唆されました。
図6:泡立ち後の洗顔料の貯蔵粘弾性 測定装置:動的粘弾性測定装置 測定条件;せん断ひずみ(振動) ひずみ gamma=0.5% 周波数f=10 Hz 温度20度
※7 物質が外力を受けることで生じるエネルギーのうち、物質内部に保存される成分を指す。貯蔵粘弾性が高いと、材料が主に弾性的挙動を示し、外力が除去されると元に戻り、貯蔵粘弾性が低いと、エネルギーが主に散逸し、変形が元に戻らないとされる
これらのことから、パラミロン原末を様々な用途で使用・アイテムに配合することによって、肌の健やかさを保つことへの貢献が期待されます。
今後も当社は、ユーグレナおよびその含有成分のさらなる解明を通して、健康食品や医療分野等での利活用や食材としての付加価値向上を目指すとともに、ユーグレナ由来の化粧品原料の研究開発を行っていきます。
<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの提供、未利用資源等を活用したサステナブルアグリテック領域などの事業を展開。2014年より、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」を、継続的に実施している。https://euglena.jp
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パラミロンが肌免疫を介した保湿因子、泡の感触改善、皮脂吸着の増強など多機能にはたらくことを確認しました
株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充)は、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」)を用いた医薬部外品※1・化粧品原料として「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」(図1)を独自に開発し、新たに規格化※2したことをお知らせします。 「パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)」は医薬部外品原料規格※3「ユーグレナ多糖体末」に適合しているため、医薬部外品にも配合可能な原料です。
※1 医薬部外品:薬機法によって定められた医薬品と化粧品の中間に位置づけられる製品のこと
※2 原料としての品質基準を定めること
※3 医薬部外品原料規格:厚生労働省によって定められた医薬部外品の原料に関する規格
図1:パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)
図2:パラミロンの電子顕微鏡像 撮影 青山学院大学 福岡伸一教授
パラミロンは、ユーグレナが細胞内貯蔵物質として生成する希少成分で、きのこなどに含まれるβ-グルカンと呼ばれる多糖類であり、水にも油にも溶解しない平均2-3μmほどの微細で均一な粒子です(図2)。
当社はこれまでの研究を通じて、パラミロンが免疫調整機能における主成分であることを報告※4してきました。今回、その肌への影響について改めて確認するとともに、洗顔料やクレンジング剤として用いた際の便益についても検討しました。
※4 2022年3月23日のニュースリリース https://www.euglena.jp/news/20220323-3/
■研究の内容と結果
1.パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)が肌免疫を介して保湿因子を増強する可能性を確認しました
皮膚は外界と生体組織を隔てている人体最大の臓器であり、病原体のみならず花粉・ちり・ほこりといった微粒子汚れやアレルギー物質をはじめとしたさまざまな異物にさらされています。異物の侵入が起こると、結果的に肌荒れなどの肌トラブルにつながるため、その防御能力を落とさないようにすることが重要になります。
ヒトの身体は、侵入してきた病原体等をいち早く感知し、それを排除する自然免疫と呼ばれる仕組みを備えており、マクロファージなどの免疫細胞がその役割を担っています。免疫細胞は身体のさまざまな組織に分布していますが、皮膚にもランゲルハンス細胞と呼ばれるマクロファージ様の細胞をはじめとした免疫細胞が存在しており、異物から肌を守っています。また、マクロファージは末梢組織に侵入した病原体等を呑み込むことで活性化し、ホルモン様のタンパク質であるサイトカインを出して、さらに他の細胞を活性化することが知られています。
本研究では、ヒト由来の免疫細胞であるTHP-1マクロファージにパラミロン原末を添加して培養したあと、その培養上清を皮膚線維芽細胞に添加して、ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子発現に与える影響を調べました。
その結果、THP-1マクロファージにパラミロン原末を添加して培養した上清は、皮膚線維芽細胞において、皮膚のハリや弾力の維持に必要な保湿成分の1つであるヒアルロン酸の合成酵素(HAS2)にかかる遺伝子発現を有意に高めました(図3)。パラミロン原末が免疫細胞を活性化したときに細胞から分泌された成分が、皮膚線維芽細胞にはたらきかけることで、皮膚の保湿成分であるヒアルロン酸を合成する力が強化されたと考えられます。以上のことから、パラミロン原末によって、肌の免疫力を介して皮膚のハリや弾力が良好に維持される可能性が示されました。
図3:活性化した免疫細胞の培養上清による皮膚のヒアルロン酸合成酵素遺伝子発現量の変化 ***p<0.001 t検定 vs.添加なし
2.パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)がLPS※5により惹起した免疫細胞の炎症を抑制することが示唆されました
免疫細胞の一種であるマクロファージにおいて、LPSで惹起された炎症反応が、パラミロンによって、抑制されるかどうか、NO※6産生量を指標として確認しました。その結果、パラミロン原末はLPSによって惹起されたNO産生を濃度依存的に有意に低下させました(図4)。以上のことから、パラミロンによって、炎症が抑制される可能性が示されました。
※5 LPS(リポポリサッカライド)は自然の中の土や木、植物や食品、空気中に存在している、グラム陰性細菌の細胞壁の一番外側に存在する成分で、免疫系を刺激し、体内で自然免疫を活性化する働きが報告されています
※6 一酸化窒素のこと。マクロファージなどの免疫細胞から産生され、生体防御因子として作用する一方、炎症時に多量に産生された場合には炎症を悪化させる
図4:マクロファージのNO産生量の変化 ***p<0.001,**p<0.01 t検定(ボンフェローニ補正) vs. パラミロン 0 μg/mL
3.パラミロン原末(ユーグレナ多糖体)を洗顔料に配合することで、きめ細やかで弾力のある泡立ちや皮脂の吸着を助けます
パラミロン原末を配合した洗顔料と配合していない洗顔料を用意し、それぞれを同じ方法で2分間泡立てました。その結果、パラミロン原末を配合した洗顔料の泡の方がよりきめ細やかな泡立ちとなりました(図5)。
図5:泡立ち後の洗顔料の泡の顕微鏡写真
また、パラミロン原末を配合していない洗顔料の泡では、スプーンをのせると、泡の中に沈んでしまいますが、パラミロンを配合した洗顔料では、スプーンをのせても泡の中にスプーンが沈まず、泡が弾力を持っていることが分かりました。実際に、泡の弾力の指標としてそれぞれの泡の貯蔵弾性率※7を調査したところ、パラミロン原末を配合した洗顔料の泡において、パラミロン原末を配合していない洗顔料の泡と比較して、泡の貯蔵弾性率が高くなっていました(図6)。これらの結果は、洗顔料へのパラミロンの配合によって、より弾力ある泡立ちが得られることを示しています。
一般的にきめ細かい泡は毛穴の汚れの除去に効果的であり、弾力ある泡は洗顔時の肌への摩擦を低減する効果があることが知られています。パラミロン原末を洗顔料に配合することでくすみやシワの原因となる洗顔時の摩擦の軽減と、汚れの効果的な除去に貢献できると考えられます。
さらに、パラミロン原末と水を混合した液で顔を洗った後と、水で顔を洗った後と、それぞれあぶらとり紙を用いて、皮膚に残った皮脂量を確認したところ、パラミロン原末と水を混合した液で顔を洗った時のほうが、あぶら取り紙に吸われる皮脂量が減少していることを確認しました。以上のことから、パラミロン原末が肌の皮脂を吸着する可能性が示され、洗顔料やクレンジング剤などでの活用可能性が示唆されました。
図6:泡立ち後の洗顔料の貯蔵粘弾性 測定装置:動的粘弾性測定装置 測定条件;せん断ひずみ(振動) ひずみ gamma=0.5% 周波数f=10 Hz 温度20度
※7 物質が外力を受けることで生じるエネルギーのうち、物質内部に保存される成分を指す。貯蔵粘弾性が高いと、材料が主に弾性的挙動を示し、外力が除去されると元に戻り、貯蔵粘弾性が低いと、エネルギーが主に散逸し、変形が元に戻らないとされる
これらのことから、パラミロン原末を様々な用途で使用・アイテムに配合することによって、肌の健やかさを保つことへの貢献が期待されます。
今後も当社は、ユーグレナおよびその含有成分のさらなる解明を通して、健康食品や医療分野等での利活用や食材としての付加価値向上を目指すとともに、ユーグレナ由来の化粧品原料の研究開発を行っていきます。
<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの提供、未利用資源等を活用したサステナブルアグリテック領域などの事業を展開。2014年より、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」を、継続的に実施している。https://euglena.jp
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(2024/11/21 17:00)
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