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~トラブル増で専門家警鐘~
たばこをやめられない人に施される禁煙治療。ニコチンパッチなどの禁煙補助薬と心理的支援を組み合わせるのが一般的だ。心理的支援の一つに、禁煙を難しくしているこだわりを患者が医師とともに見つけ、自ら変えていく「論理療法」がある。新中川病院(横浜市)の禁煙外来で論理療法を実践する加濃正人医師は「禁煙に必要なのは強固な意志ではなく、柔軟な思考です」と話す。
禁煙に必要なのは柔軟な思考
▽「こだわり」が足かせに
禁煙を始めても、不安感や集中力低下などの離脱症状が表れ、それを解消するために再び吸ってしまうことがある。加濃医師によると、離脱症状は1~2週間でなくなるし、禁煙補助薬も有効だ。一方で、離脱症状が消えた後も続く喫煙の欲求は、かたくなな考えやこだわり(非理性的な信念)によって起こるという。
例えば、仕事のトラブルでイライラして喫煙してしまった場合、トラブルという「出来事」が、喫煙という「行動」に結び付く背景に「イライラは解消されなければならない、というこだわりがあるとも考えられます」(加濃医師)。
▽自分に「ツッコミ」を
論理療法では、喫煙がその場のイライラの解消になるかどうかの議論には踏み込まず、解消になると仮定した上で「イライラの解消は絶対に必要なのか」「イライラは喫煙より危険なのか」と、自分にツッコミを入れる。それによって、こだわりが根拠のない独断的なものだと気付き、「イライラを解消できた方がいいが、できなくても大丈夫だし、喫煙でイライラを解消するのは本末転倒だ」と変化するようにトレーニングする。
患者は自身のこだわりとツッコミを書き出すなどし、日常生活で問題に直面したら見返したり思い出したりする。次の診察で、適切なツッコミができたかを医師と話し合う。加濃医師は「禁煙に伴う多少の不都合があっても『禁煙のためならば仕方がない』と諦める柔軟さが、禁煙の秘訣(ひけつ)です」と解説する。
同院の禁煙外来では、1回50分の診療を3カ月間に10回程度行う。治療が終了しても患者が自分でこだわりを見つけ、理性的な信念に変えられるような手順をトレーニングしている。一般的な禁煙外来よりも診療回数は多くなるが、成功率は高いという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/05/12 11:00)
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