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梨状筋は臀部(でんぶ)の深い場所にある円すい状の筋肉で、周囲の筋肉と共に大腿(だいたい)骨につながり、股関節を内側に回転させる役目を担っている。梨状筋症候群は、梨状筋を含む股関節周辺の筋肉が使い過ぎで硬くなり、臀部に痛みが生じる状態を指す。杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)整形外科の林光俊医師は「股関節周辺の筋肉は、スポーツ時のパフォーマンスに影響するので、普段から意識してストレッチをすることが大切です」と話す。
股関節を意識的に動かして
▽痛み、硬さやしびれも
梨状筋症候群はスポーツ選手に多いと言われ、主な症状は臀部の痛みだ(座骨神経痛)。使い過ぎて硬くなった筋肉が、梨状筋の真下を通る座骨神経を圧迫して痛みが出る。股関節をよく動かすサッカーやランニング、野球では捕手のように座る動作時に症状が強く出やすい。林医師は「臀部を押すと、痛みとともにゴリゴリとした筋肉の硬さを感じ、脚の外側に向けてしびれや痛みが放散することもあります」と説明する。
同じような症状を示す病気として一番多いのが椎間板ヘルニアだ。診断時は、まず磁気共鳴画像装置(MRI)などで椎間板ヘルニアがないかを調べる。ただし、椎間板ヘルニアの所見がないからといって、必ずしも梨状筋症候群とは限らない。「座骨神経痛を起こしやすい位置に神経が通っているなど、筋肉や神経の走行には個人差があるからです」と林医師。座骨神経と梨状筋周辺の筋肉の関係は複雑で、診断には慎重を要するという。
▽薬の使用とストレッチ
以前は梨状筋を切離する手術が行われていたが、体への負担もあり、現在ではほとんど行われていない。痛みが強い場合は、鎮痛薬の服用や局所麻酔薬を注射する神経ブロック注射を行う。
併せて股関節のストレッチで、梨状筋周辺の筋肉のこわばりを和らげる。座って脚を伸ばし、片脚の膝から足首を両手で抱えて胸に引き寄せるストレッチや、あおむけに寝て、脚を真上に上げゆっくりと戻す運動など、股関節の前後左右の動きを意識するのがポイントだ。林医師は「痛いからと動かさないでいると余計に筋肉が硬くなるので、少しずつでも伸ばすのが効果的です」とアドバイスする。
普段から股関節のストレッチを行っていると、梨状筋症候群の予防に加えて、スポーツ時の動作も容易になる。「ぜひ積極的に取り入れてほしいです」と林医師は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/06/08 10:00)
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