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過敏性肺炎はアレルギーの原因物質を吸い込むことで起こる病気で、そのうち最も多いのが高温多湿の屋内で症状が出る「夏型過敏性肺炎」だ。毎年症状を繰り返すうちに肺の機能が次第に弱り、息切れを起こすようになる。住まいの環境が影響するため、その見直しが大切となる。帝京大学(東京都板橋区)大学院医学研究科医真菌学・宇宙環境医学の槙村浩一教授に聞いた。
在宅時間が長いと発熱やせきの症状が出る
▽長引く風邪症状
夏型過敏性肺炎は、トリコスポロン・アサヒなどのカビが原因となって発症する。このカビは高温多湿、換気不足、建築木材の腐食がある家屋に生息する。飛散したカビの胞子を繰り返し吸入することにより、発熱やせき、呼吸困難などの症状が表れ、重症の場合は皮膚や唇が紫色に変色するチアノーゼが見られることもある。6~9月ごろにかけて発症し、秋以降に症状が治まる。
「自宅で4~6時間過ごすと症状が表れ、外出すると症状が治まるのが特徴です」と槙村教授。在宅時間が長いと症状が出る、外出時間が長くなると体調が良くなる、夏になると同じ症状を繰り返す、という場合には、夏型過敏性肺炎の可能性が考えられる。毎年症状を繰り返していると、慢性化して肺が線維化し、呼吸機能が低下する懸念がある。そのため、早めに呼吸器・アレルギーの専門医の診察を受けることが重要だ。
▽環境改善で症状回復
症状はステロイド治療で改善するが、「ヒトの健康を守るためヒトだけでなく動物や居住環境を含めた環境にも目を配る『ワンヘルス』という考え方がありますが、夏型過敏性肺炎にはまさにワンヘルス・アプローチが重要です。環境改善なしに根本的解決はありません」と槙村教授。トリコスポロン・アサヒが生息する家屋は建材が腐食しているため、「一般的な換気や清掃だけでは治りません。カビの発生源を絶つために改築などが必要です」と強調する。
ただし、診断の際に行うトリコスポロン・アサヒ抗体の検査は、キノコの胞子を吸い込んで過敏性肺炎を発症したケースでも陽性反応が出ることがある。「特に、築年数が10~15年程度で、目に見えて湿気て朽ちた箇所が見られない家屋ならキノコが原因の可能性も高いです。そのようなケースでは部分的な対応でも効果が認められた報告もありますので、改築する前に建築士などの専門家に相談しましょう」と話す。
高温多湿の日本では、気密性の高い住宅ほどカビが生えやすく、アレルギーの原因となることもある。十分な換気と清潔を保つことが重要だ。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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