治療・予防 2024/12/27 05:00
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肌に貼ることで、有効成分が皮膚から吸収される貼り薬。飲み薬を服用できない人でも使用できるほか、飲み忘れを起こしにくく、服薬継続率の向上につながるという利点があり、心臓病やアルツハイマー病などさまざまな病気の治療に用いられている。一方で、薬が接触している部分に皮膚炎を起こしやすいといった問題もある。貼り薬によるトラブルと予防法について、東京逓信病院(東京都千代田区)皮膚科の江藤隆史客員部長に聞いた。
▽かゆみや痛みが生じる
貼り薬は「貼付(ちょうふ)剤」とも呼ばれ、有効成分が皮膚から徐々に吸収されるため血中濃度を長時間にわたり一定に保ちやすく、胃腸や肝臓に負担をかけにくいので、全身性の副作用を軽減できる。万一、副作用が表れた場合には、剥がすことで、薬の吸収を止めることが可能だ。服薬が簡便で服薬状況を目で確認できるため、飲み薬のように飲み忘れや飲み過ぎを防止でき、治療を継続しやすい。嚥下(えんげ)が困難な高齢者や乳幼児にも適している。
ただし、皮膚に直接貼るため、角質層にダメージを与えたり、皮膚炎を引き起こしたりする例がある。よく見られるのは、紅斑を伴うヒリヒリ感、痛み、かゆみなどの「刺激性接触皮膚炎」だ。
江藤医師は「多くは貼付剤を剥がせば1~2日で軽快しますが、貼った部位で皮膚炎が繰り返されると厄介です。症状が続く場合は、ステロイド外用剤や抗ヒスタミン薬で治療し、改善しなければ使用を中止します」と説明する。
▽貼る場所や時間がポイントに
皮膚のトラブルは、適切な貼り方・剥がし方、スキンケアで予防が可能な場合がある。使用する際は、貼る場所を毎日変更する、貼る前に皮膚がかさかさしていないか、赤みがないかを確認する、剥がす時には周りの皮膚を手で押さえ、持ち上げないようにして剥がすといった点に注意したい。
また、皮膚が乾燥すると、外からの異物の侵入を防御するバリアー機能が低下し、トラブルにつながる恐れがある。日常生活では、体を洗うときにこすって傷めないようにし、保湿のためのスキンケアを行うことがポイントだ。市販のワセリンやボディークリームなどを用い、前日に貼付剤を貼っていた場所と翌日に貼る予定の2カ所に塗るとよい。
江藤医師は「保湿剤は入浴直後など皮膚が潤っているときに塗り、保湿したい部位にまんべんなく広がるよう、やさしく丁寧に塗りましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/09/27 07:00)
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