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便秘というと大人の病気と思われがちだが、子どもでも決して少なくない。さいたま市立病院(さいたま市)小児外科・排便外来の中野美和子医師は「ひどくなると排便を嫌がるようになるため、悪循環に陥ります」と話す。
▽便意を感じにくくなり悪化
2017年に日本トイレ研究所が全国の小学生4777人について行ったインターネット調査では、16.6%が便秘状態にあり、20.7%が便秘予備軍とされた。
大人の便秘は生活習慣や食生活の乱れで起こることが多いが、子どもの便秘にはさまざまな要因が関係する。食事(母乳、離乳食)や偏食、不規則な生活、トイレトレーニング、便意の我慢、排便力などで、原因が不明な例も少なくない。
便秘の仕組みも大人と異なる。大人の場合はS字結腸や下行(かこう)結腸に便がたまることが多いが、「子どもでよく見られるのは、肛門のすぐ上の直腸に便がたまる『直腸性便秘』です。長期間排便しないと、硬くなった便が肛門にふたをする『便塞栓』という状態になります。液状の便が漏れ出たり、それが肛門部に付着してただれを起こしたりします」と中野医師。
子どもの便秘でやっかいなのは、痛い思いをするため、排便を嫌がるようになることだ。「幼児が大人の手のゲンコツくらいの便をためこむこともあり、そうなると排便は苦痛を通り越して恐怖でしかありません。それで排便を我慢して、便をため込んでしまうのです」
直腸に長い間便がたまると、直腸の壁が伸びてブカブカになる。中野医師は「便が入ってきても、直腸が押されるという刺激に対して鈍くなっているため、便意を感じにくくなり、便秘が悪化します。慢性化させないことが重要です」と説明する。
▽コロコロうんちは便秘のサイン
進行した便秘の治療法は、かん腸や飲み薬を用いて便を出して、直腸をぺしゃんこの状態にすることだ。「薬を使って便を出すことに、依存性が高まると心配する保護者もいますが、便秘薬がくせになるというのは誤解です」と中野医師。その上で、規則正しい生活習慣と食物繊維の多い食事の摂取、運動などで生活スタイルを改善して、排便習慣を身に付けさせることが大事だという。
便秘はある日突然なるのではなく、必ず兆しがあるという。中野医師は「コロコロうんち、出にくい(出すのに苦労する)うんちは便秘の始まりです。食事や運動で改善しない場合は、かかりつけ医に相談するなどして早めに対処してください」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/10/20 08:00)
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