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泌尿器科の病気で、治療に難渋する疾患として近年注目されている「低活動ぼうこう」。ぼうこうの働きが低下するために尿を出しにくくなる病気だ。加齢に伴って発症頻度が高まるため、超高齢社会では今後の患者の増加も懸念される。東邦大学医療センター大橋病院(東京都目黒区)泌尿器科の関戸哲利教授に聞いた。
▽ぼうこうの収縮力が低下
ぼうこうは、腎臓でつくられた尿をためておき、1日に数回、排尿する器官だ。排尿の際にぼうこうが収縮すると同時に尿道が開くことで勢いよく尿が押し出され、ぼうこうが空になる。
ところが、何らかの理由でぼうこうの収縮力が低下したり、尿道が十分に開かなかったりして、尿が出にくくなる。これらが原因でぼうこうに尿が残る(残尿)と、ぼうこう炎を起こしやすくなる。尿がたまった感じが鈍くなることもある。これが低活動ぼうこうだ。
関戸教授は「収縮力が低下する原因の一つは、ぼうこうの筋肉が加齢とともに弱くなるためです。それ以外に、脳卒中や糖尿病などの病気により、ぼうこうや尿道の働きをつかさどる神経の働きが低下することなどが挙げられます」と説明する。
診断では、尿の勢いや残尿の有無を調べる。特に、男性の前立腺肥大症、女性の骨盤臓器脱などでも尿が出にくくなるため、これらの疾患を鑑別することが重要になる。
▽残尿が多いと自己導尿も
治療は、軽症なら定時排尿(時間を決めて排尿)、二段排尿(排尿後にもう一度出す)などを行うことで、残尿を減らすようにする。ただし、「手で押したり、腹圧をかけたりして排尿すると、ぼうこうに負担がかかる場合もあるので注意が必要です」と関戸教授。薬物療法では尿道の開き具合を改善させるα1遮断薬が主に使用されることが多い。
残尿が多い場合は、自身で尿道からぼうこうまで細い管を入れて、ぼうこう内の尿を排出させる「清潔間欠自己導尿」が必要となるケースがある。手技の習得が必要となるが、高齢者であっても習得可能なことが多いという。
尿が出にくい、残尿感があるなどの自覚症状があれば、泌尿器科の受診を勧めたい。また、関戸教授は「加齢によってぼうこうや尿道の機能がある程度低下することは避けられませんが、生活習慣病の予防に努めることは低活動ぼうこうの予防にもつながる可能性があります」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/02/12 16:57)
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