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「尿酸値が高いと痛風になる」ことは広く知られている。だが、血液中の尿酸値が高まる高尿酸血症は、痛風だけでなく、さまざまな生活習慣病とも関連する。帝京大学医学部付属新宿クリニックの藤森新院長は「高尿酸血症の発症には、遺伝的素因のほかに食習慣を中心とした生活習慣が強く関わっています。生活習慣病の一つと言えるでしょう」と話す。
アルコール飲料は、種類に関係なく適量を守りましょう
▽心臓病や脳梗塞を合併
私たちの体内では、体を動かすために必要なプリン体という物質が作られている。尿酸は、このプリン体が分解されて生じる。通常は尿と一緒に排せつされるが、体のバランスが崩れると、尿酸は過剰につくられたり腎臓からうまく排せつされなくなったりする。
血液中の尿酸が1デシリットル当たり7.0ミリグラムを超えると、高尿酸血症と診断される。そして、9.0ミリグラム超では、痛風発作や関節周囲にこぶができる痛風結節、尿路結石などのリスクが急激に高まる。
また、高尿酸血症患者は高血圧や脂質異常症、糖尿病などを併発しやすく、心臓病や脳梗塞、慢性腎臓病などを起こしかねない。「痛風発作によって亡くなることはありません。高尿酸血症患者は、心臓病や脳梗塞で命を落とすのです」と藤森院長は指摘する。
▽まず肥満の解消を
高尿酸血症の患者数は、国内で約1000万人に上ると推定される。圧倒的に中高年男性に多いが、20~30代も珍しくない。「特に、肥満や痛風の家族歴がある方は注意が必要です」と藤森院長。見逃さないためにも、年1回は健診で尿酸値を確認したい。
尿酸値が高いと指摘されたら、まず生活習慣を見直す。中でも肥満の解消が重要だ。適度な運動が有効だが、過度な運動は新陳代謝が活発になり尿酸値が急上昇する場合があるため避けること。
食生活では、プリン体を多く含む食品(レバー、肉類や魚の干物)を控える。アルコールは、種類に関係なく尿酸値を上げる働きがあるため、プリン体を多く含むビール以外も適量にとどめる。水分は十分に(1日2リットル程度)摂取し、海藻や野菜などのアルカリ性食品は積極的に食べてよい。
それでも尿酸値が下がらない場合や、痛風を起こした場合には、薬物療法が必要になるケースもある。「治療については主治医と相談しましょう。ただし、尿酸値を下げることばかりに気を取られてはいけません。生活習慣病の改善を含む全身の健康管理が大切です」と藤森院長は強調している。(メディカルトリビューン=時事)
(2020/07/05 08:00)
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