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「こんなつらい治療を一生続けなければならないなんて」―。末期腎不全の腎臓病患者を心理学的・精神医学的に支援する「サイコネフロロジー」が近年、透析に関わる医療従事者の間で注目される。埼玉医科大学総合医療センター(埼玉県川越市)メンタルクリニックの公認心理師、小林清香講師に聞いた。
末期腎不全患者は他の疾患の患者に比べて有病率が高い傾向にある
▽透析患者のうつ病
透析を受ける末期腎不全患者は、全国で年に約4万人ずつ増え、2019年末で約34万人だが、医療技術進歩に伴い、生存率も向上。生活の質(QOL)を維持・改善することがより重要になる。
通院で行う血液透析は一般に1回4~5時間、週3回の治療が必要で、患者の心理的ストレスは大きい。食事などの管理、合併症や薬の副作用のほか、仕事への影響など社会的な問題も生じて心の不調にもつながる。
小林講師は「末期腎不全の患者さんがうつ病になる割合は、健康な人に比べて高く、うつ病を合併すると、病状悪化や亡くなるリスクも高くなることが報告されています」と話す。また、他の疾患の患者と比べてもうつ病の有病率は高い傾向にある。
「意欲が低下し、それまでできていたことが続けられなくなるほか、自分の体を大切にする気持ちが乏しくなり、通院や服薬がおろそかになったり、特に重要な食事などの自己管理がずさんになったりするからです」
▽心もつらくなる
「サイコネフロロジーは、腎不全や腎代替療法である透析、腎移植などの治療で生じる心理的・精神的苦痛の緩和を目指します。ただ、精神科医や公認心理師だけでなく、関わる全ての医療従事者が重要性を理解し、目の前の患者さんとの関わりの中にその視点を取り入れてほしいです」
その上で「患者さんがどのような生活を望んでいるのか、その実現に何が必要か、その方に関わる医療従事者が皆で共有し、より良い対応を行うことが重要です」と話す。
小林講師は「体がつらければ心もつらくなるのは当然です。つらいと感じるのは特別なことではありません。透析患者さんは心身の状態を医療スタッフにぜひ話してください」と呼び掛ける。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/02/23 05:00)
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