治療・予防

腎機能が短期間で低下―急速進行性糸球体腎炎 
再発や命の危険も

 腎臓の糸球体は、血液中の老廃物や塩分をろ過し、尿として排出している。急速進行性糸球体腎炎は、この糸球体に激しい炎症が起こり、数週間から数カ月で腎機能が急速に低下する難病だ。早期に治療しないと、またたく間に腎不全に至り、透析が必要になる。東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)腎センターの酒井謙教授は「良くなったと思っても急に再発することがあるので油断は禁物です」と話す。 

長引く風邪症状、タンパク尿や血尿が短期間のうちに起こる

 ▽自己抗体が関与

 急速進行性糸球体腎炎は、50~70代に多く、全身の倦怠(けんたい)感や発熱、食欲不振などの風邪に似た症状から始まり、タンパク尿や血尿が出て、腎機能が急速に低下する。これらの症状が数週間から数カ月という短い間に起こるのが特徴で、場合によっては腎不全となり、命の危険もある。

 酒井教授は「自分の体を守るために備わっている免疫システムが誤作動して自らを攻撃してしまう病気の一種と考えられ、抗好中球細胞質抗体(ANCA)という自己抗体が引き起こす血管の炎症(血管炎)が主な原因です」と説明する。

 MPO―ANCA(代表的な顕微鏡的多発血管炎の抗体)が9割以上の患者に見られ、臓器内に分布する細い血管に強い炎症(ANCA関連血管炎)を起こす。「腎臓のろ過装置である糸球体は、こうした細い血管の塊なので、真っ先にターゲットになります」と酒井教授。なぜ抗体ができるのかは、まだ解明されていないという。

 ▽早期治療で腎臓保護

 急速進行性糸球体腎炎は、早期治療が経過を大きく左右する。そのため尿検査や血液検査とともに、腎臓の組織を一部取って顕微鏡で見る腎生検で進行度を調べる。

 治療はステロイド薬を使い、症状が軽い場合は経口剤を服用し、重症の場合は点滴で大量に全身投与できるステロイドパルス療法を行う。ステロイドが効きにくい、またはステロイドが使用できないケースでは、免疫抑制剤を使った治療や血液中の血漿(けっしょう)成分を入れ替える血漿交換を行うケースもある。

 「年齢や症状により薬の量や組み合わせる治療を変え、症状の消失を目指します」と酒井教授。一度良くなっても急に再発することがあるので、主治医が指示した服薬の継続と定期的な受診が必要だ。

 早期発見には、かかりつけ医と専門医のスムーズな連携が重要だという。酒井教授は「風邪のような症状が長引き、タンパク尿や血尿が出る場合は、ちゅうちょせずすぐに医療機関を受診してください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)

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