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2017年3月施行の改正道路交通法により、75歳以上の運転者が認知症と診断された場合、運転免許の取り消し、または免許停止が可能となった。この制度導入前後の事故数の比較調査を行った、筑波大学医学医療系(茨城県つくば市)の市川政雄教授に、高齢ドライバーの事故や対策について話を聞いた。
運転者の年齢層別の交通事故件数
◇制度導入以降に事故数減る
市川教授は、12~19年の警察庁による高齢者(75歳以上)の交通事故データなどを検証した結果、17年以降に事故数が減少したことが分かった。一方で、自転車の運転中や、歩行中のけがは増加した。
「(法改正の影響で)高齢者が車の運転をやめ、自転車に乗ったり、歩いたりするようになったため、結果的にけがが増えたのかもしれません」
全世代別の運転免許保有者の事故率を見ると、高齢者より10~20代前半のドライバーの方が多い。対して、高齢者は自損事故で本人が亡くなるケースが目立つ。
「運転免許を自主返納する高齢者が増えていますが、高齢ドライバーの事故がセンセーショナルに報道されたり、認知機能検査の運用が強化されたりしたことが、その背景にあると思います」
海外では、認知症であっても直ちに高齢者から免許を取り上げることはほとんどない。「運転をやめ、活動的な生活ができなくなると、体も心も弱ってしまいます。むしろ、運転を続けることで健康が維持できるかもしれません」
◇「運転寿命」を伸ばす
市川教授は、高齢者が安心して運転できる「運転寿命」を延ばす方法を検討している。例えば、車に衝突軽減ブレーキが装備されたり、自動運転が実用化されたりすること。また、事故が起きやすい夜間や、雨の日だけ運転しないようにする仕組みをつくることも重要だ。
同時に、「不安がなければ無理して運転をやめる必要はありませんが、運転できなくなるときを想定し、バスなどの代替交通手段を利用するとか、歩いて用事を済ませるとか、将来を考えて生活してみることも大切です」と市川教授は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/07/13 05:00)
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