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ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、ウクライナに住む人の健康状態の悪化が懸念される。東北大学災害科学国際研究所(仙台市)の藤井進准教授らは、SNSへの投稿メッセージを分析し、現地の医療ニーズなどをリアルタイムに予測できることを示した。
ツイート数の変化
◇1億件近く分析
藤井准教授らは、侵攻が始まった昨年2月の前後約10カ月間、SNSの一つであるツイッターに、ウクライナ語で発信された約9850万件のメッセージ(ツイート)を分析。その結果、1週間当たりの平均ツイート数は、侵攻直後に侵攻前の約3倍に増加。医療やメンタルヘルスに関するツイート数は4倍超に増えていた。
ツイートの内容の分析では、次の6領域に分けて検討した。〔1〕「採血」「検査」などの単語を含む「治療」〔2〕「熱」「下痢」などを含む「症状」〔3〕「止血」「心肺蘇生」などを含む「処置」〔4〕「病院」「医師」などを含む「医療資源」〔5〕「爆発」「死亡」などを含む「戦禍での特別な状況」〔6〕「不安」「抑うつ状態」など、精神的状態を示す語を含む「メンタルヘルス」―で、それぞれの関連用語を含むツイート数の増減を調べた。
その結果、6領域全てのツイート数が侵攻直後に増え、特に「戦禍での特別な状況」「メンタルヘルス」「医療資源」「治療」に関するツイートの増加が著しかった。これら4領域のツイート数は徐々に減少していったものの、4カ月以上たっても侵攻前より多い状態が続いた。
◇「糖尿病薬」含むツイート40倍以上
個々のツイートは「慢性疾患の薬、輸血などに関するもの、小児や高齢者などの災害時要配慮者に関するもの、抑うつ状態や心的外傷後ストレス反応の兆候を表す用語を含むメンタルヘルスに関するものが増加しました」と藤井准教授。「糖尿病薬」を含むツイートは侵攻直後に40倍以上、「出産」を含むツイートは約8倍に増えたという。
「ツイート数の増加から予想される医療ニーズやメンタルヘルスに関する情報は、ウクライナ支援に役立つと期待されます。今後起こり得る災害でも、SNSの分析は被災者の心身の健康ニーズをリアルタイムに予測する方法として有効と考えています」と藤井准教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/11/03 05:00)
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