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安定同位体を用いた高比重リポ蛋白の新たな機能評価法に特許
~臨床応用・実用化に期待される質的評価の開発~ 東京慈恵会医科大学

 東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座 吉田 博教授(附属柏病院:病院長)は、積水メディカル株式会社と産学共同で高比重リポ蛋白(HDL)の機能=コレステロール引き抜き(C-efflux)能(CEC)の測定の新規メソッドを確立し、2023年1月に特許を取得しました。2023年7月8日には、第55回日本動脈硬化学会総会・学術集会 合同シンポジウム(日本動脈硬化学会・日本臨床化学会)のなかで、吉田博教授は臨床検査updateとして、HDL機能評価法の最新情報について講演し、情報発信しました。
 HDL-コレステロール濃度が同程度でもHDLのCECが低いと動脈硬化性疾患のリスクが高いことが知られており、HDLは量的評価のみならず、その機能を反映する質的評価が必要と考えられています。
 HDLのCECはRI(ラジオアイソトープ)で標識したコレステロールを用いて測定されてきたため、実施できる施設に制限があり、臨床検査の現場で活用することは容易ではありませんでした。
 一方で蛍光標識されたコレステロールを用いる蛍光法がありますが、天然型のコレステロールと化学構造が異なるためRI法の代替法としては議論の余地がありました。
 そこで、吉田博教授らはRIを用いない、CEC測定法としてSI(安定同位体)を用いた方法を開発し、その新規性と有用性から本法の発明に特許が認定されました(特許番号:7211591)。
 この測定法は、質量分析計を用いるため、天然型コレステロールと安定同位体標識したコレステロールを測り分けることができ、リン脂質等コレステロール以外の分子の同時測定も可能となっています。今後は、その他の各CEC関連アッセイ法の比較検討と標準化への試みが重要課題として捉え取り組む予定です。


 本発明の基盤となった研究成果はJournal of Lipid Research誌の2019年第60巻に掲載されています。(Shimizu T, Miyazaki O, Iwamoto T, Usui T, Sato R, Hiraishi C, Yoshida H. J Lipid Res 2019; 60: 1959-1967)。その他の参考文献としては、臨床化学(2022;51: 129-140)をご覧ください。
 特許の情報の詳細については、次に示すURLをご参照ください。
https://ipforce.jp/applicant-27045 および https://ipforce.jp/patent-jp-P_B1-7211591

以上

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