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高齢になると腰が曲がり、つえの助けが必要になるもの。年だからと諦める人も多いが、生活に支障が出ると深刻だ。慶応義塾大学病院(東京都新宿区)整形外科の松本守雄教授は「加齢で腰はある程度曲がってきますが、曲がり過ぎるといろいろな不都合が出てくるのでほっておくのは禁物です」と警告する。
▽65歳以上の5人に1人
子どもの場合は先天的な異常や突然進行する突発性の変形がある。しかし、加齢によっても椎間板が傷んで背骨が曲がってくるケースや、骨粗しょう症で骨がもろくなって曲がるケース、関節の病気で骨盤が傾いて曲がるケースがあり、これらを総称して「成人脊柱変形」と呼んでいる。
松本教授は「70歳代の15%、80歳代の20%が成人脊柱変形とされ、65歳以上の約5人に1人に変形があるともいわれています」と指摘する。特に骨がもろくて椎間板が壊れやすく、筋力が弱い女性に多いという。
背骨が曲がると腰や背中が痛くなるだけではなく、転倒もしやすくなってくる。神経の通路である脊柱管が狭くなって神経が圧迫される「脊柱管狭窄(きょうさく)症」を合併し、足の激痛で歩けなくなってしまう可能性もある。体が曲がると胃が圧迫され、胃酸など胃の内容物が食道に逆流する「胃食道逆流症」を起こすこともある。
▽日頃から体形チェック
背骨が大きく曲がり、痛みがひどかったり、生活上困ったりする場合には治療が必要だ。ただ、症状が重くて手術が必要な場合を除けば、痛み止めや骨粗しょう症薬による薬物療法か、ストレッチなどで背筋や腹筋を鍛える運動療法で対処するしかない。
成人脊柱変形を防ぐには、筋肉が疲弊する姿勢を長く続けないようにすることや、カルシウム、ビタミンD、Kを多く含んだ食べ物を積極的に取り、適度な運動をするなど、若い頃からの心掛けが大切だという。
さらに、日頃から体形をチェックする習慣も身に付けたい。松本教授は「もし、60歳を過ぎてから急に身長が縮んだ、ウエストラインが左右で違う、壁に背中を向けて立つと背骨が壁に付かないなどの症状があれば、痛みがなくても整形外科に相談した方がよいでしょう」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
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