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筋力が低下する難病「重症筋無力症」。国内の患者数は2万人超と推定されている。昨年末、難治性の重症筋無力症に対する新薬が登場した。国際医療福祉大学三田病院(東京都港区)神経内科の村井弘之部長は「日常生活に支障がなくなる状態を目指せる治療法が選択肢に加わった意義は大きい」と期待を寄せる。
重症筋無力症の症状
▽周囲の理解不足も問題
重症筋無力症は、外敵から体を守るはずの免疫機能が異常を起こし、末梢(まっしょう)神経と筋肉の継ぎ目にある信号の受け手が攻撃され、神経から筋肉への指令がうまく伝わらなくなり筋力が弱くなる病気だ。まぶたが下がる、物が二重に見える、話しづらい、手足に力が入らない、といった症状が表れる。
夕方から夜に症状が悪化するのが特徴。疲れているときや夕方だけ症状が出る患者もいて、「怠けている」などと会社の同僚などから誤解されることも少なくない。村井部長は「患者さんは周囲に理解してもらえないという精神的な負担も抱えています」と話す。
症状が目に出る眼筋型と、全身に表れる全身型がある。あらゆる年齢で発症するが、最近は65歳以上の高齢者が増えている。
▽細菌感染に注意
治療法にはステロイド剤や免疫抑制剤の投与、血液から不要な物質を除く血液浄化療法、不要な物質が働かないようにする免疫グロブリン療法などがある。しかし、村井部長は「治療で症状は改善しますが、症状がない状態(寛解)に至る人は1割程度。半数程度は身体症状などを抱えながら生活しているのが現状です」と指摘する。
ただ、さまざまな治療法を試みても十分効果が得られない難治性の全身型重症筋無力症患者に対し、過剰になった免疫の働きを抑える薬剤「エクリズマブ」が昨年末から使えるようになった。臨床試験では、治療開始後すぐに症状が改善し、1年後もその状態を維持できる効果が確認された。エクリズマブによる治療中に髄膜炎菌という細菌感染のリスクが高まるため、治療前に髄膜炎菌ワクチンを接種する。
村井部長は「エクリズマブの対象になるか医師が正しく見極め、適正に使用すれば、多くの人で症状をうまくコントロールできます」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/01/27 06:00)
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