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女性の骨粗しょう症
~予防と骨密度改善法~ 【第9回】

 骨粗しょう症は多くの女性が直面する健康問題の一つです。特に、50歳を過ぎると骨密度の低下が顕著になり、骨折の危険性が高まります。適切な予防策と生活習慣の改善によりリスクを軽減し、骨の健康を維持しましょう。今回のコラムでは、この疾患の原因や予防法、骨密度を改善するための具体的な方法について詳しく解説します。

女性は特に骨粗しょう症になりやすい(イメージ画像)

 ◇三つの原因

 骨粗しょう症は骨の強度が低下し、骨折しやすくなる病気です。女性がなりやすい主な原因は次の三つとされています。

 1. 加齢

 年齢を重ねるにつれて、私たちの体は自然に骨密度が低下していきます。女性は18歳ごろをピークに40歳までほぼ同じ水準で推移し、その後は徐々に下がります。このため、適切なケアを行わないと、骨粗しょう症のリスクが高まります。

 2. 閉経後のホルモン減少

 エストロゲンという女性ホルモンは骨を保護する重要な役割を果たしています。閉経後に分泌が減少すると、骨密度の低下が加速します。

 3. 不適切な生活習慣

 カルシウムやビタミンDが不足した不適切な食事運動不足、喫煙、過度な飲酒、日光を浴びる機会が少ない生活などは骨の健康を損なう恐れがあります。過度なダイエットや極端な低体重も悪影響を与える要因となります。骨密度は一度低下すると、回復は非常に困難です。

 ◇50歳過ぎたら要注意

 多くの女性が50歳前後で骨密度の低下が加速します。この時期は閉経と重なることが多く、エストロゲンが減少するためです。

 骨粗しょう症の初期段階では明確な症状が表れにくいのが特徴ですが、進行すると身長の縮み、背中や腰の痛み、姿勢の悪化、脊椎圧迫骨折による急性の腰痛などが出ることがあります。多くの場合、骨折が起きてから初めて骨粗しょう症に気付きます。50歳を過ぎたら定期的に骨密度検査を受けましょう。

 主な検査には二重エネルギーX線吸収測定法(DXA法)と超音波法(QUS法)があります。DXA法はより精密な測定が可能で、診断に用いられます。QUS法は簡便で被ばくの心配がないため、スクリーニングに適しています。

「骨の貯金」には食事や運動が大切(イメージ画像)

 ◇若年時からバランス良い食事運動

 骨粗しょう症の予防には「骨の貯金」という考え方が重要です。これは、若いうちから骨密度を高め、強い骨を作っておくことを意味します。主に毎日の食事運動によって骨を強化できます。

 骨を強くするためには適切な栄養摂取が不可欠です。特に重要な栄養素として、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、マグネシウム、タンパク質などがあります。これらは乳製品、緑黄色野菜、魚類、キノコ類、納豆、ナッツ類、全粒穀物などから取り込めます。バランスの取れた食事を心掛けてください。

 適度な運動は骨に適度な負荷をかけ、骨密度を高める効果があります。特に効果的な運動としてウオーキング、ジョギング、筋力トレーニング、ヨガ、ピラティスなどがあります。運動に日光浴を組み合わせれば骨の健康をさらに促進できます。

 日光浴は体内でのビタミンD合成を促進します。ビタミンDは、腸でのカルシウム吸収を助け、骨への取り込みを促進する重要な栄養素です。15~30程度の適度な日光浴は効率的なビタミンD合成につながるとされています。

 ◇大豆成分「エクオール」が有効

 最近の研究で、エクオールという成分が骨密度の改善に効果があると分かってきました。エクオールは大豆イソフラボンから腸内細菌によって作られる物質で、エストロゲンのような働きをします。骨折リスクの低減、更年期症状の緩和などの効果が期待できます。

 ただ、すべての人がエクオールを産生できるわけではなく、日本人女性では約50%、2人に1人と言われています。能力の有無は専門の検査で確認できます。

 エクオールを体内に取り入れる方法としては、発酵大豆食品(納豆、みそ、しょうゆなど)を積極的に摂取したり、エクオールを含むサプリメントを利用したりする方法があります。サプリの利用に関しては、医師や専門家に相談の上で判断するようお勧めします。

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