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女性の骨粗しょう症
~予防と骨密度改善法~ 【第9回】

 ◇薬やホルモンで治療、生活見直しも

 骨粗しょう症と診断された場合、薬物療法、ホルモン補充療法、生活習慣の改善による治療などが考えられます。

 薬物療法では、ビスホスホネート製剤や選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)などが用いられます。これらは骨吸収(古くなった骨の破壊)を抑制したり、骨形成を促進したりする効果があります。

 ホルモン補充療法は、閉経後の女性に対してエストロゲンを補充しますが、副作用のリスクもあるため、慎重に検討する必要があります。生活習慣の改善は薬物療法と併用する形で行います。

 なお、他の疾患や薬の投与に伴う二次性骨粗しょう症もあるため、原因となる疾患の治療が骨粗しょう症の改善につながる場合もあります。

 ◇男性にもリスク

 骨粗しょう症は静かに進行する病気ですが、適切な予防と管理により、健康的・活動的な生活を維持できます。「骨の貯金」を意識し、日々の生活習慣を見直しましょう。女性に多い疾患ですが、男性も年齢とともにリスクが高まります。性別にかかわらず、骨の健康に気を配ることが大切です。

 骨粗しょう症の研究は日々進んでおり、新しい治療法や予防法が開発されています。新しい情報を得るためにも定期的に医療機関を受診し、専門家のアドバイスを受けるようお勧めします。(了)

沢岻美奈子(たくし・みなこ)
 琉球大学医学部を卒業後、産婦人科医として25年以上の経歴を持つ。2013年1月、神戸市に女性スタッフだけで乳がん検診を行う沢岻美奈子女性医療クリニックを開院。院長として、乳がんにとどまらず、女性特有の病気の早期発見のための検診を数多く手掛ける。女性のヘルスリテラシー向上に向け、診察室での患者とのやりとりや女性医療の正しい知識をインスタグラムで毎週配信している。
 日本産科婦人科学会専門医、女性医学学会認定医、マンモグラフィー読影認定医、乳腺超音波認定医、オーソモレキュラー認定医。漢方茶マイスター。

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