脊椎圧迫骨折〔せきついあっぱくこっせつ〕 家庭の医学

 外傷により、背骨の椎体がつぶれて扁平(へんぺい)になったものが脊椎圧迫骨折です。
 高齢者で骨粗鬆症(こつそしょうしょう)により骨が弱くなると、ふとんをもち上げたり、しりもちをつくだけでも圧迫骨折を生じ、きっかけがなくても骨折を生じることさえあります。高齢者で、いままでに経験したことのないような強い腰痛が2~3週間以上続く場合には、骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折がまず考えられますから、すぐに治療が必要となります。
 骨折は、胸椎から腰椎にかけての部分に多くみられます。X線検査で骨折を調べますが、初期にはMRI(磁気共鳴画像法)検査ではじめて圧迫骨折が診断されることもあります。背骨にがんが転移して圧迫骨折を生じる(病的骨折)こともあるので、注意が必要です。


[治療]
 受傷直後はとても痛く、寝返りや起立、歩行が困難なほどです。側臥位(そくがい)などの楽な姿勢で安静を保ち、痛みに対しては鎮痛薬を服用します。1~2週間で疼痛(とうつう)が軽減し、起立歩行が可能となります。
 骨折の程度や経過により、軟性のコルセットや硬性のコルセットをつけます。圧迫骨折の治療と同時に、骨粗鬆症の検査をおこない、再骨折を防ぐために治療をおこないます。
 受傷後に安静を保っても痛みが続く場合や、椎体変形が進行する場合には、椎体内に骨セメントを経皮的に注入する椎体形成術がおこなわれます。即時的な除痛効果が得られます。
 圧迫骨折の治癒が遅れ、椎体のうしろの部分が突出するとうしろにある脊髄(せきずい)が圧迫され、両下肢のまひを生じることがあります。腰痛や背部痛、足のまひが続く場合には手術が必要となることがあります。

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