子宮発育不全〔しきゅうはついくふぜん〕

 従来は不妊症の原因の一つとして子宮発育不全という概念がありましたが、現在ではこの用語はあまり使用されていません。
 実際には、未産婦や月経が不順な若年女性において、卵巣からのエストロゲン分泌不全の結果として子宮が比較的小さい場合があります。

[原因]
 思春期になると、卵巣から分泌されるエストロゲンにより小児の子宮から成人の子宮へと発育しますが、エストロゲン分泌不全があると子宮の発育がとまり、子宮頸(けい)部にくらべて子宮体部の小さな子宮になります。

[症状]
 特に、自覚症状はありませんが、無月経、生理不順、不妊症、妊娠しても流産をくり返す不育症などの症状を伴うことがあります。

[治療]
 無月経など排卵障害のある場合は、原因に応じたホルモン治療をおこないます。ホルモン治療により性機能が回復すれば、軽度の発育不全では妊娠・分娩(ぶんべん)が可能です。早期からの治療開始が重要です。

(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 准教授〔分子細胞生殖医学〕 平池 修)
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