膵臓の病気の検査法

 膵臓(すいぞう)の病気の検査法には、胆道の病気と同様に、検体検査と画像検査があります。

■検体検査(血液検査、尿検査など)
 膵臓の病気では、多くの場合血液や尿のアミラーゼ値が高くなり、慢性膵炎など一部の膵臓の病気で低くなります。アミラーゼ値が高い場合は、このアミラーゼが唾液腺由来のものでなく、膵臓由来のものであることを確かめます。膵がんなどの悪性腫瘍ではCEA、CA19-9、SPan-1、DUPAN2などの腫瘍マーカーが高値を示すことがあります。

■画像検査
 画像検査は、からだに対する影響の小さなものからおこなうことが基本です。膵臓の画像検査としては、まず超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像法)検査などがおこなわれます。
 
□超音波(エコー)検査
 超音波をからだに当てて、その反射波で内部構造を映像化して診断する方法です。特にからだへの影響はありませんが、超音波の画像を見ながら、腹部に針を刺して、組織を採取したり、管を入れたりすることがあり、その際は出血などの危険があります。空気があると、超音波が反射されないので、空気が入っている臓器(肺、胃腸など)の診断には、あまり用いられません。

□CT(コンピュータ断層撮影)検査
 X線を用いて、輪切り、縦切りなどの断層像を作成する検査です。最近は、ヘリカルCT、多検出器CTなどが臨床応用されて、空間解像度が向上し、数mmの小さな病変も描出できることがあります。ヨード系造影剤を使用することで、正常臓器と病変の区別が明瞭になります。からだへの影響として、X線による被ばく、造影剤を使用する際のアレルギー反応などがあります。

□MRI(磁気共鳴画像法)検査
 磁気共鳴現象を利用して、CT検査と同様にからだの断層像を作成する検査です。X線を使用しないので、からだへの影響はあまりありませんが、検査には少し長めの時間(5~20分程度)がかかります。空間解像度はCT検査と比較するとやや落ちますが、膵管の走行を描出するMRCP検査では、膵臓の様子を詳細にみることができます。

 上記の検査で何らかの異常があり、精査が必要と判断された場合には、以下の検査が精密検査としておこなわれることがあります。

□ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)検査
 口から内視鏡を挿入し、その先端から出る細いチューブを胆管の出口(十二指腸乳頭部)に挿入して、膵管に造影剤を注入することにより、膵臓の様子を観察することができます。最近は簡便におこなえるMRCP検査などで代用されることが多く、膵管に狭窄(きょうさく)・閉塞がある際にプラスチックチューブを挿入するような治療目的に限定しておこなわれることが一般的になってきました。

□内視鏡超音波(EUS)検査、管腔内超音波(IDUS)検査
 口から内視鏡を挿入し、その先端に付いている超音波探触子(プローブ)を用いて胃もしくは十二指腸から膵臓を精査する検査です。管腔内超音波検査は、内視鏡の先端から細い超音波探触子を出して、膵管に挿入して精査する検査です。

(執筆・監修:自治医科大学外科学講座 主任教授〔消化器外科学〕 佐田 尚宏